救済活動
ここは惑星ミミー。小さな星だが、文明がとても発達した惑星だった。その高度に成長した技術を駆使し、惑星ミミーでは尊敬すべきことが行われていた。全宇宙に対する奉仕である。
ミミー星の宇宙通信局。そこではいつものように、宇宙に漂う様々な通信を解析していた。宇宙はどこか彼方にある惑星が放ったSOS信号で溢れかえっている。飢餓、病気、環境汚染など、自分たちの力では問題を解決できない惑星が、藁にもすがるように、宇宙にSOS信号を放つのだ。
宇宙通信局では、そのSOS信号を受信、解析している。そして、助けがいると判断された場合、救助宇宙船が救済活動を行いにいくのだ。しかし、宇宙の誰かに助けを求めるくらいだから、ほぼすべての通信に対して救済活動を行っている。
この日も、ミミー星人たちはいつものように沢山の信号を解析していた。
「こちらギー星です。我々の星は食料危機が深刻です。この信号を受け取った方、どうか、助けてください。位置は……」
信号を解析したミミー星人はすぐに、通信機器を受信から送信に切り替え、本部に連絡を取る。
「食糧危機です。惑星名はギー星。位置は……」
するとすぐに、たくさんの食べ物、果物の苗木などを積んだ宇宙船がギー星へと飛び立っていくのだ。ミミー星人はホッと息をつき、椅子にもたれ込んだ。これほど素晴らしい仕事はないと彼はしみじみ感じ、デスクに置いていたマグカップを手に取り、コーヒーのような味がする緑色の飲み物を一口飲んだ。
その時、通信機器のランプが点滅した。SOS信号を受信したのだ。彼はすぐさまマグカップをデスクの隅にやり、機器を操作して解析に取り掛かった。誰かが助けを求めている。ゆっくりしている場合ではない。
解析結果は、次のようなものだった。
「こちら地球の娯楽メディアです。我々の文明は成長しすぎてしまい、毎日が退屈です。平和すぎて、頭がおかしくなりそうです。どなたか、この通信を聞いていらっしゃったら、何か刺激を、地球にください。位置は……」
ミミー星人は腹を立て、その解析結果と通信データを破棄した。なんという愚かなことをするのだろう。平和でありながら、それに文句をつけ、刺激が欲しいなど、傲慢にもほどがある。彼は怒りのあまり、地球という星の位置データを打ち込み、「刺激をくれてやる」とつぶやくと、惑星破壊ミサイルの発射ボタンを押した。
その時、通信機器がSOS信号を受信したことを知らせた。
すると、またも通信は地球という星からだった。
「こちら地球です。ずいぶん昔から、戦争が続いています。人同士で殺しあうのです。また、環境汚染、飢餓もひどいものです。毎日たくさんの人が死んでいます。どなたか、どうか助けてください。位置は……」
ミミー星人は、その通信が意味する言葉を信じなかった。信じられるはずがなかった。
そして、他のどこか遠くで困っている者を助けるべく、SOS信号の解析を始めた。
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