考え方

 住宅街に並ぶ、たくさんの一軒家の中の一つ。そこにひとりの男と、一体のロボット住んでいた。男はソファでくつろいだ様子で本を読んでいる。一方、ロボットは洗濯物をたたんでいる。

 そんな中、ふと男は本を閉じ、ロボットにこう質問した。

「もし俺が死んでしまったら、お前はどう思うんだろう」

 ロボットは洗濯物を畳む動作を止めた。そして、宙を見つめるようにして何か考え、こう言った。

「悲しむと思います。ずいぶん長い間、ご一緒させていただいておりますから。私は、あなた様を家族のように感じております。どうか、いつまでも健康でいてください」

 男は、もっと機械的な答えが返ってくると思っていたため、ロボットの返答が嬉しかった。まさか、俺のことをそんな風に思ってくれていたなんて。

 ふと、ロボットがこう話しかけてきた。

「私からも、質問してよろしいでしょうか」

「ああ。いいよ」

「もし私が壊れてしまったら、あなたはどう思うのでしょうか」

 男は、少し宙を見つめながら考え、こう言った。

「悲しむだろうな。長い間、同じ屋根の下過ごしたのだから。俺は、お前を家族のように感じている。だから、いつまでも壊れないでいてくれよ」

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