二つの道

 二つの道があった。一つはスタートから歩きづらそうな、でこぼこした道だった。遠くには急な崖があり、登るのは骨が折れそうだ。

 もう一つは、一つ目とうって変わり、平らな道がずっと続いているようだった。俺は平らな道を行くことにした。何も、自分から大変な方を選ぶことはない。

 その時、誰かが俺の肩を叩いた。振りかえると、見知らぬ男がいた。

「そっちは、ゴールのない、つまらない道だよ」

 そう言われた。俺は聞いた。

「ゴールってなんですか」

 男は笑顔を見せ、言った。

「そりゃあ、歩いてみれば分かる」

 男は俺を追い越し、慣れた様子で歩きづらそうな道を歩いていった。俺はゴールが何か知りたかったので、でこぼこ道を歩くことにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る