第54話大衝突1

大統領は世界に向けて最後の声明を発表した。


「全世界の善良なる皆さんに国連から最後のメッセージをお届けします。

あと数時間で地球は強力な氷の嵐に包まれてしまいます。30時間それは

続きます。シェルターや強固な建物の中に隠れれば氷の粒や寒波強風は


防げますが、気圧の高まりや電磁波は防げません。苦しい戦いですが30

時間耐え抜きましょう。宇宙飛行士4名を乗せたアポロジュニアがアメーバ

彗星SACに先ほど突入いたしました。しばらくして事故が起きました。


急速に圧力が高まってきて押しつぶされそうになった時キーンという音が聞

こえてきて皆気絶してしまいました。2人は生き残りましたが二人は残念

ながら即死でした。どうやって生き残れたのか?それはナムストーンと叫んだ


からのようです。理由はわかりませんが確認された唯一の事実ですのでキーン

という音が聞こえてきたらナムストーン!ほかはありません。ナムストーンを

お忘れなく。幸運を祈ります。ナムストーン!」


8月15日9:00AMニューヨーク。国連本部。上空は真っ黒。

稲妻とオーロラが走り雷鳴がとどろく。メディアがアメーバ彗星

SACの到来を告げる。


「こちらニューヨークです。SACが空を覆い尽くしました。

間もなく氷の粒が大量に降ってきます。風速40メートルの

氷の嵐がやってきます。建物の中へ避難してください!」


同時刻、グランドキャニオン。天空に向かって5人ユニットが飛び

上がる。各地から次々と飛び上がる。黒雲を突き抜けるとそこは別世界

無数のユニットが天空を覆い尽くしている。


宇宙船がその中をゆったりと落下していく。その雲の真下は氷の大嵐だ。

10:00AMハワイキラウェア天文台。ものすごい氷の嵐。常夏の

島にひょうが降り、寒波と稲妻、雷とオーロラが荒れ狂う。


テレビは叫ぶ。


「ただいま全世界が氷の嵐に巻き込まれました。キーンとなったら

ナムストーン、ナムストーンと叫んでください。ただいま全世界が

氷の嵐の中に入りました。これから暴風雨になります。避難して

ください・・・・・・」


電波障害が起きてぷつんと電源が切れた。テレビもコンピューターも

全ての明かりが消えた。すさまじい風の音。氷の嵐がすべてを飲み込む。


11:00AM、嵐の東京霞ヶ関官庁街。黒雲に覆われ激しい氷の嵐。

オーロラと稲妻が不気味にビル群にまとわりつく。


12:00AM、北京天安門に大粒のひょうが降る。空は不気味な黒雲。

首脳は大急ぎで地下シェルターに隠れる。激しい氷の嵐が襲ってくる。

オーロラと稲妻、雷鳴が天安門広場に轟きわたる。


13:00、クレムリンもバッキンガムも凱旋門も。ピラミッドも

万里の長城も自由の女神もすべてが黒雲に覆われ、氷の嵐と稲妻

オーロラにまとわりつかれてしまった。今や世界中がついに

大彗星雲にすっぽりと覆いつくされてしまったのだ。

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