第47話SAC1

「ただいま国連のアナン事務総長の重大発表を繰り返します。

二か月後の本年8月15日午前10時に巨大ガス状彗星が

地球に衝突いたします。


約30時間で通過しますが、かなりの障害が予測されます。

この間十二分に研究を尽くして当日を迎えたいと思います。

分析とマニュアル作成のために発表が遅れたことをお詫びい

たします。


詳細なる分析の結果、このガス状彗星はほぼ1年前に存在が

確認されていましたが、昨年春のケープ天文台発表のものが

最初です。


銀河系宇宙に最も近いウルトラ第3星雲との中間点に新星誕生

と報じられましたが、30日後には消滅さらに30日後に

再出現という不可解な新星ということでしたが、


その後キラウェア天文台と共同で追跡調査の結果、

拡散濃縮を繰り返すガス状単独彗星ということが判明

いたしました。


さらに今では加速度がついてほぼ間違いなくこの8月15日に

地球に衝突します。しかし慌てないでください。


これから述べる対処法を確実に守ればこの危機は十分に

乗り越えられますので大丈夫です。


ちなみにこのガス状アメーバ型彗星のことを

SUPER AMEBA COMET(SAC)と表示いたします。

それではSAC対処策を発表いたします」


全世界に緊張が走る。


「まず初めに国連軍のSAC対策です。

(1)火星付近に近づくまでの間に探索衛星をSACに衝突させてガスの更なる詳細な

分析を行う。今のところN、O、H、Cなどが多く地球の大気と組成が似ている。


(2)火星を通過したのちに何らかの手立てを用いて、SACの軌道変更を試みる。

核の使用もありうる。


(3)月に衝突する前に全地球を覆うバリアを成層圏に作る。


(4)通過する30時間の間、このバリアを補強維持する。以上です」


ここで緊張が少し緩む。


「次に各国市民のSAC対策としては超巨大なハリケーンや巨大砂漠の大規模砂嵐に

対応するものと想定できるので核シェルターなどにに30時間こもるしかない。


SACが成層圏に入ると一時的に地球の温度が1度ほど上昇する可能性があり水位が

上がるので沿岸部は要注意。かなりの電波障害が起こる。絶対に戸外に出ないこと。


ガスは今分析中ですので更なる対策が必要とあれば直ちに公開します。

今こそ一致団結してこの危機を乗り越えましょう!以上です」


続いて各国首脳のアピールが続く。


そのころ各地の光る石やナムストーンは

バイブレーションを起こし始めていた。


石の輝きは低下しおびえている。

今回は皆以前から胸騒ぎを感じていた。


地球的規模で何かが起こるそれはまさに

この発表だったのだ。


石がこれだけ反応しているから衝突は免れない。

どうやって生き延びるかだ。


SACは最大限濃縮すれば地球以上に硬度のある

物質になるが拡散すれば磁気嵐程度で終わるやもしれぬ。


衝突の衝撃を少しでも避けるには、

彗星の軌道を変える努力をしながら大気圏に

バリアを張り最大限に拡散させるしかない。


そのうえで30時間耐える。

イメージとしては煉瓦に豆腐が衝突する感じだが、

何が起こるかわからない。


あの恐竜が消滅したときのように。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る