第48話SAC2
オサムオサナイはメンバーに緊急連絡第2号を発した。
「みなさん祈ってますか?本日の国連の発表で私たちは地球的
規模の大災難とはガス状アメーバ型彗星(SAC)の衝突だと
いうことを知りました。戦う相手が明確になりました。
相手の軌道を変えるか、大気圏にバリアをはるか、最大限に拡散
させるかをなさねばなりません。相当のエネルギーが必要です。
更なるメンバーの増加が必須です」
せめてメンバーが1億を越えなければそれは不可能だ。
ということは、
『衝突は避けられない!』
このころ世界はパニックになっていた。
今月中旬にはSAC探索に行った3基の
宇宙衛星が帰還する。
最終分析発表は月末だそれではもう遅い。
そう考えた人々が自己防衛に走ってパニック
が始まった。
一気にシェルター作りが加速する。
冷戦時代の第三次世界大戦前夜のようだ。
開発途上国や軍事独裁国では権力者だけが
シェルターを作った。裏社会のグループも
秘密裏に壕を作る。
多くの人々はなすすべもなく不安を抱えたまま
日常を送るしかなかったのだ。
いつの時代もそうであるようだ。
時代の激流の中で洗い流されるのは
人類の大半を占めるこれら弱者だ。
今回の大衝突もそうなるのか?
オサムオサナイは純真なる弱者を
何とか生き残せるすべはないものか。
メンバーに緊急連絡第3号を発した。
「目標は衝突までに1億人。今月末までに
1000万人。現在メンバーは300万です。
全力で頑張りましょう!」
7月中旬探索器は無事に帰還した。データは
直ちに分析されわずか4日で世界に公表された。
(1)SACの元素組成比は地球の大気の組成比とほぼ同じ。
最大限に拡散状態で突入すればほぼ無害。電波障害が起こる程度。
(2)SACは8月15日グリニッチ標準時間午前1時に月に
到達し約30分で通過。午前10時に地球に至り約30時間で
通過。
(3)月衝突と同時に電波障害が現れ、気圧が急速に高まり、太陽
の光が微粒子で遮られ氷の嵐に包まれます。マイナス20度の寒波が
30時間続きます。オーロラと稲妻雷鳴のとどろく中で人々はじっと
氷の嵐が通過するのを待ちつづけなければなりません。
コンピューターなどは使用不能になります。特に寒さに不慣れな
熱帯地方はこの寒波に注意してください。
一時的に海面上昇が起こりますが1mもないものとの予想ですが
海辺は十分に注意してください。
(4)高濃度の氷の砂嵐と磁気嵐が30時間続くという
ことですが十分乗り越えられますのでご安心ください。
この後詳しいことや最新ニュースを繰り返しお伝えいた
しますので国連からの発表はこれでひとまず終わります。
オサムオサナイは国連の発表を聞いて何か大切な情報が
抜け落ちている気がした。シェルターでも防ぎきれない
何かが起こるような胸騒ぎがした。
光る石とナムストーンはバイブレーションを増大しているし。
輝き具合も今までにないほど青黒く沈み込んできた。
それでも一つの救いはこの高まりでさらに多くの光る石と
ナムストーンが発見されたということだ。
いよいよ8月に入った。衝突まであと2週間。
石は合計で800万を超えた。
天空がSACの影響で霞がかかったように太陽の光を遮り始めた。
この日久しぶりにジョージおじさんから電話が入った。
「どうだい?オサムオサナイ。今回は乗り越えられそうかな」
「今メンバーは800万人に達しましたが。乗り越えられるか
どうかはわかりません。何か大きな情報の欠落があるように
思えてならないのですが」
「ふむ。もう一度再分析をさせよう。何かあれば公表する。
現時点では情報の隠ぺいは人類への裏切り行為だ。
ナムストーンも全面公開したいがどうだ?」
「ええ、よろしくお願いします」
日ごとに天空は暗くなってきた。
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