第49話バリア

オサムオサナイは緊急連絡第4号を発した。


「今回の国連発表に安心してはいけません。ナムストーンの

バイブレーションは高まり、石の色は青黒く打ち沈んだままです。


警告は人類の危機を訴え続けたままです。全人類に全く無害で

あるならばナムストーン及び光る石は明るく輝きを取り戻すはず


ですそれがないばかりか逆にさらにどす黒さが深まっている

ということは、間違いなく危機は地球全体人類すべてを滅亡させる


ほどの規模のものだと考えざるをえません。

気を抜くことなく最大限の緊張をもってこの2週間を耐え抜きましょう!」


このころテキサスのドナルドは遊泳を試みていた。5人のメンバーで

オサムオサナイに言われたように手をかざしてナムストーンと叫ぶと

ふっと宙に浮く。


このことはハワイやヨーロッパの各地ですでに試みられていたのだ。

ハワイではカメハメハを中心に。


ヨーロッパではキーツを中心に各地で空中遊泳が始まっていた。

フッセンのお城からスイスアルプス山中にかけて。


チューリンゲンの森の上空。ピレネー山脈やアルハンブラの宮殿上空。

英国ネス湖近辺。ユトランド半島からスカンジナビアにかけて、


5人のメンバーでユニットを組んで天空へと舞い上がる。


北アフリカではナセルを中心にピラミッド上空やアスワンダム付近で。

中東はケムンが中心者でアテネの神殿上空やカッパドキアで。


インドヒマラヤ上空はレイを中心に。中国では雲南省を中心に。

南米ではペルーを中心に。オーストラリアではエアーズロックで。


5人のユニットの場合には他のユニットとの交信が可能だ。

その日グランドキャニオンから飛び立ったドナルドのユニットは


モニュメントバレーから飛び立ったインディアン系のユニットと接触

した。遠くに姿が見えると耳元で声が聞こえる。


「こちらモニュメントインディアナの5名です。3時の方向に上昇中です」


「あ、見えました。こちらグランドテキサスの5名ですよろしく。

ナムストーン!」


5人共通の不思議な会話が成立している。

ドナルドはナバホ山を迂回するとキャニオンの方向へ

反転した。素晴らしい夕日が沈む。


5人が夕日に見とれていたその反対側の宇宙で、

大きな美しい瞳が一瞬やさしく微笑んだ。


南米ではナスカを飛び立ったユニットが、チチカカ湖

を飛び立ったユニットとマチュピチュの上空で接触した。


中国では敦厚を飛び立ったユニットがゴビ砂漠上空で

北京から飛び立ったユニットと遭遇している。


インド、ネパール方面の中心者はレイだった。レイは

女性だけのユニットを立ち上げてヒマラヤの上空で

インドのユニットと接触している。


ついには国境を越えてあちこちで3つ4つユニットが

複合的に接触するようになってきた。

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