第23話天狗岳1

さらに30分くらいで鞍馬10分くらいで貴船だ。

ここで東に戻る。大原まで20分さらに15分で古知平だ。

急げば1時間半で1周できる。


「よしこれでいこう。夕暮れまでにはまだ十分時間がある」


ちょうど中央に天狗岳という標高600mの山がある。

この山の上空100mのところが目標にもってこいだ。

浮上時間は午後4時と決めた。さあ出発だ。


まず百井ももいにむかう。

分かれ道からオフロードのアップダウンがつづく。

かなりの悪路だ。


約20分で村の盆地の中央バス停についた。

キーツを降ろす。村人何人かがバス停前の雑貨店で

長髭のキーツをじろじろと見ている。


盆地の底なのでここは見晴らしが悪い。

キーツを再び拾い乗っけて

ももいわかれという峠に出た。


すばらしい眺めだ。天狗岳が正面に見える。


「ここにしよう。午後4時になったら天狗岳の

上空を目指してナムストーンを唱え続ける。

オーケー?」


オサムが車から一緒に降りてキーツに確認する。

キーツは手をかざして天狗岳を眺めながら

大きく深呼吸をした。


「OKオサム。いいながめだ。居眠りしないようにして

4時きっかりにナムストーンをはじめるよ。失敗したら

すぐ迎えに来てくれよ」

「OK,じゃあ4時に天空で会おう!」


悪路が続く。30分くらいでオサムは鞍馬の山門前に着いた。

何とか天狗岳が見える。ナセルを降ろしてそこから山奥へ10分。

貴船でケムンを降ろす。


とって返して大原まで20分、レイを

三千院の山門前に降ろす。ちょうど

寂光院の方向に天狗岳が見える。


あと20分で4時だ。オサムは大急ぎで

古知平平原に戻った。ちょうど五地点の

立体頂上付近が天狗岳の上空に当たる。

そこはパワーが集中するポジションのはずだ。


午後4時きっかりほぼ45度の角度で

右手にナムストーンを握りしめて高く掲げ叫ぶ、


「ナムストーン、ナムストーン、ナムストーン!」


天狗岳の上空が一瞬ぴかっと光ったかに見えた。

体が浮上する。遠方からみんなの姿が見えてきた。

5人は集合するとしばらくホーバリングをして

古知平にもどった。


(オサム)「明日は携帯を用意して送り火の

     現場からテストしてみよう」


(キーツ)「当日は夜だから何が起こるかわからない」

(ナセル)「天気予報では夕立があるとか言っている」

(ケムン)「早めに現場を確かめて何回かテストしてみたほうがいいな」


(オサム)「点火されてから火が消えるまでは30分しかない。

     その間に舟を呼ぶんだ。祈りをこめてナムストーンを

     唱えれば宇宙と接触できるはずだ」


オサムがレイを見ると心細そうな顔をしている。


「レイ、心配しないでいいよ。今日と同じように

一番僕に近いところに降ろすから。15分くらいで

またみんなに会えるはずだ上空で。OK?」


レイはにこっとしてうなづいた。


(オサム)「夕食は貴船のひろや亭で流しそうめんと

てんぷら!今日はこれで終わり」


日が暮れて貴船で夕食後みんなは川床の脇で

流れに足を浸しながらくつろいだ。

星がきれいで水音と冷風が心地よい。


キーツが星空を見上げながら言った。


(キーツ)「夜のテストもやったほうがいいと思うが・・・」

(ナセル、ケムン)「そのほうがいいな」

レイもうなづいている。


(ナセル)「夜は道もすいているから車で40分もあれば

一周できるだろう。この貴船にレイを置いて、

我々4人が散らばれば安全だろう」


(レイ)「私は大丈夫よ」

(オサム)「よし、大急ぎで夜の実験をやってみよう」

オサムは立ち上がって叫んだ。


皆も「よし!」と言って立ち上がる。


(オサム)「貴船にレイを残し、鞍馬山門前にナセル、

大原三千院にケムン、キーツを古知平に置いて、

大急ぎで百井に入る。午後8時きっかりにナムストーン


スタート。10分試みて駄目だったら逆周りで皆を拾って

大急ぎで貴船に戻る。レイはひろや亭の向かいの高台が

一番いい。8時、ナムストーンをスタートして10分


たっても駄目だったらひろや亭に戻って待っててください。

以上、みんなOK?」

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