第24話天狗岳2
みんなで「オーケー」と答えて直ちにスタート。
まず鞍馬山門前にナセルを下ろす。昼間と同じ場所だ。
(ナセル)「心配ないよ、気楽にいこう!」
とさけんでナセルはVサインを出す。
大原三千院まで県道40号線を急ぐ。車はほとんど来ない。
15分で大原に着いた。周りは真っ暗。
オサムはケムンに懐中電灯を渡す。
「ま、とにかく気を付けて」
「・・・」
不安げなケムンに手を振って、
キーツとオサムは古知平にむかう。
10分もかからない。
キーツにも懐中電灯を渡してオサムは百井へ。
激しい山道を走り抜ける。車は1台も通らない。
村を抜けて峠に出る。
この山道はたっぷり20分かかった。
峠で車を降りて天狗岳を真南に望む。
空は曇っていてむしむしする。
かえるの声がすさまじい。
耳を澄ますといろいろな声が聞こえてくる。
夜の山の中は不気味だ。
さあ、ちょうど8時になった。
オサムは天空に右手をかざした。
「ナムストーン、ナムストーン、ナムストーン・・・」
いくら叫んでも何の変化も起きない。
この10分はとても長く感じた。
『なにかあったんだ?』
オサムは胸騒ぎを感じた。
石をライトにかざしてみると黒ずんで見える。
輝いていれば暗がりでも鮮やかに見えるのに。
『急がなければ』
オサムは大至急峠を下り古知平に向かった。
大蛙が何匹も飛び掛ってくる。何か行く手を
さえぎってでもいるかのようだ。
やっと古知平に着いた。
『キーツはどこだ?キーツ?』
平原の中央に人が倒れているのがすぐに分かった。
キーツが頭から血を流して倒れている。
キーツはすぐに気がついた。
後頭部をいきなり殴られたものの
幸いに傷は浅い。どうもツキノワグマらしい。
二人は車に欠け乗り大原へと急いだ。
昼間は土産品店や観光客で人通りも多いが、
三千院の山門はこの門前町を上り詰めた
頂上付近にあって、山門前には土産屋が
一軒あるだけで意外と閑散としている。
周りは浅い崖になっていてもみじの大木の間を
竹の柵がしてあるだけだ。
夜は真っ暗で何も見えない、ちょっと危険だ。
懐中電灯がなければまったく一歩も進めない
ほど真っ暗なのだ。
やはりケムンはいない。車のライトを
つけっぱなしにして回りを探すと思ったとおり
ケムンは崖下に落ちてうめいていた。
竹の柵がそこだけ切れていてこちら側から照らすと
暗闇に道があるように見える。これは危険だ。
ケムンは何の疑いもなくその道に足を踏み込み
あるはずの道がなくて落下したのだ。
右手にはしっかりとライトを握ってはいたが
灯は消えていた。幸いかすり傷だけで元気だ。
3人は車に駆け乗り鞍馬へ急行した。
まだ灯のついている山門前にいるはずの
ナセルがいなかった。またもや見当たらない。
下りて周囲を探し始めたら向こうからそれ
らしい人影が歩いてきた。ナセルだ。
ナセルは不審者だと思われ警察に通報されて
二人の警察官に身柄を拘束されれていたのだ。
パスポートを見せ、今実験中だといっても
ますます不審がるばかり。
京都中央ホテルに確認し今やっと解放された
ところだった。さてさてこれは失敗だ。
レイは何かおきたと感じて高台から引き上げ
”ひらや亭”のロビーでみんなを待っていた。
ほどなく車の音がしてみんなが帰ってきた。
キーツがかすり傷くらいで皆元気だ。
夜は何が起こるかわからない。
(オサム)「いよいよ明日の夜は本番。
8時からの40分間が勝負です。何が起こるか
わからないので朝一番ナムストーンをしっかりと
唱えて万事臨機応変、慎重に行動しましょう。
大文字の夜天空より舟を呼ぶ、を信じて」
みんなは顔を見合わせ大きくうなづいた。
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