第55話大衝突2
14:00AM、宇宙から見ると地球は黒紫色の楕円形
アメーバ星雲に完全に喰い包まれてしまったように見えた。
15:00,暗闇に光る稲妻が至る所に走りオーロラが
地球中をめまぐるしく色彩を変化させながらあちこちと
無数にはいずりまわっている。
16:00,ついに世界中の電気が消えた。あと24時間
人類は耐えることができるだろうか。これから気圧が急速に高
まる、耳をつんざく超音波嵐が吹き荒れる。
17:00,予想では電磁気嵐が最初にやってきて海が沸騰
するかと思われたが、幸い海は大荒れに荒れているだけで、沸騰
することはなかった。大気中の酸素が激減して窒息するということ
にもならなかった。ただただ稲妻とオーロラの氷の嵐が吹き荒れた。
18:00,オサムオサナイは京都にいた。ナムストーンメンバー
には、5人一組で飛び上がり氷の嵐の雲の上空へ出るように、と
最終連絡指令が発せられていた。
19:00、地上8000mまで氷の嵐の黒雲は降りてきていた。
気圧が急速に高まる。ベテランメンバーは何度か上空に舞い上が
っては新メンバーを横につないで5人で再び地上に舞いおりて、
また4人を引き連れて舞い上がる。
20:00、「僕を信じろ目をつぶってナムストーンと叫ぶんだ」
フッと舞い上がる。
21:00、嵐の中をグングンと上昇して一気に重厚な
黒雲を突き抜けると、大歓喜の天上の世界に遭遇する。
善良な仲間たちが手をつないでふんわりと浮遊している。
22:00、遠くに宇宙母船の姿が見える。ゆっくりとゆっくりと
地球を巡りながら地上へ舞い降りていく。
23:00、その分黒雲から下の世界は急速に気圧が高まり
稲妻とオーロラ氷と電磁波の嵐がさらに強まる。
24:00、オサムオサナイは家族を呼んだ。父母妹と手をつないで
4人で集中してナムストーンを叫ぶ。ベテランメンバーはもう一人で
十分上昇下降ができた。3人までならつれて上がれるのだ。上空で
5人のユニットを組めばいい。
1:00AM、キーツはヨーロッパで、ナセルはアフリカで、
ケムンは中東部で、レイはインドと東南アジアで、全世界の
ベテランメンバーは何度も上昇下降を繰り返した。
2:00AM,ナムストーンを持っていない新メンバーも
続々と上昇してきた。5角形の人間ネットが地球を包む。
ナムストーンを唱え宙に浮いている。その分下降制御の
バリアとなって黒雲の下降速度がさらにスローになってきた。
3:00AM,世界に広がった光る石の周りには数千人の人々が
ナムストーンを唱えて集まってきた。徐々にその場が地上から浮き
上がり、ついには黒雲を突き抜けて天空へ舞い上がった。
4:00AM,雲南でペルーでメキシコで大地ごと天空へ舞い上がった。
世界の各地で。エアーズロックでは人々を乗せたまま浮上した。
5:00AM,イースター島では島ごと舞い上がった。それでも天空
の人々は数億人どまりだった。
6:00AM,ますます圧力は高まり耳がツーンとなってくる。
寒い。人々は鼓膜が破れそう思考が滞ってきて気が狂いそうだ。
7:00AM,あと10時間、地上に残された人々は我先にと
逃げ惑った。暗闇の中で金持ちたちは自前のシェルターに隠れた。
8:00AM,中東アラブの王族たちは石油の富で地下宮殿を作っていた。
一握りの一族が衛兵たちと地下に潜んだ。
9:00AM,アフリカの小国では軍隊が権力者の私兵と化して
庶民を蹴散らし地下に隠れた。
10:00AM,各地の武装勢力、ゲリラ、テロリスト、やくざ、マフィア
裏社会もこぞって堅固な地下壕を作り身を隠した。
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