坂水

「描いてください、せんせい、わたしのことを」 はつ雪の便りをつれて古民家の宿に訪れたのは《裸婦画》だけを描く画家だった。 一重の瞳に潤んだ紅の唇、白練の和服を纏った綺麗な女流画家…

【カクヨムミステリ週間ランキング1位(2022/1/17)、日間ランキング1位(2022/1/15)獲得！！たくさんのご訪問ありがとうございます！！】 季節は3月。別れと出会い…

第２回 かぐやSFコンテスト（お題：未来の色彩）の落選作：4000文字。 いつか将来、科学は物質のクオリアを発見すると思うんですよね。 ＜2021. 8. 26 更新＞ 第二…

　終戦後も戦場の悪夢に囚われたままの追放聖女と戦禍の記憶を消し去りたい銃後の人々の物語。 　僕の婚約者はかつてセプテントリオの妖精姫と呼ばれていた。 　銀糸のような癖のない髪に…

人には言えない過去を持つ居酒屋店主、氷見寛治。 そこにある日突然現れた少女、千世子。 寛治は千世子の不思議な魅力に惹きつけられ、しばらく家に置く事を決めるのだがーー 人は気…

辺境の星にぽつんと建てられている、古風な塔。その内部には、無数の本が所蔵されている。 そこで蔵書の管理をする青年と、茶トラのメス猫アルカディア。 それは磁気嵐の荒れ狂う日に、と…

アパートの隣の部屋から、妙な音がする。 「私」の学生時代に起きたこの恐ろしい事件について独白します。

毎年死にたくなる夏休みの最終日。にトラ転。 ちょい毒親持ちのキラキラネーム中二男子と、明日から夏季休暇で定時退社したい女神の会話。 夏休みの終わりはいつも大体死にたくなってたか…

【カクヨムWeb小説短編賞2023中間通過作品】 　五月半ばのある日の放課後、私、椎名真奈美は親友の神坂恵とこの後どこに行こうかと話をしていた。 　すると、 「そのストラップ、か…

　宗教上の理由で先輩への告白を遮られ、終わってしまった僕の初恋。五年の後、元部活の仲間の結婚式に参加した僕は、その先輩と再会するが──。

大学三年生の鉄平は、あかぎれで荒れた手を見つめる。脳裏をよぎるのは幼き日の祖母。そして、一人暮らしを決めた赤いきつねだった。 「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートスト…

女性として生まれた私は、男性に恋をするものだと思っていた。同級生の女友達から告白されるまでは。 嫌な気持ちはなく、付き合うことを決めた。その決断が、価値観も人生も変えていく。 …

22xx年。赤色を認識できる最後の人物の死をニュースで知って……。 夢月七海様の自主企画、「同題異話・１０月　茜色した思い出へ」参加作品です。

女子高校生のわたし、気付いたら森の中で油圧ショベルになっていた！ ここはどこ？　どうしてこんなことに？　何もわからないまま、何か事情があって追われていたラーシュさんという男の人を…

　鬱陶しい梅雨が明けたある日の夕方、市立小学校の校庭で発見されたハチは下級生を刺した。 　対処するはずだった用務員は魔女の鉄槌によって行動不能にされてしまう。 　下級生の姉に恋す…

これは、祖母と僕の壮絶な戦いの歴史――、ではない！ これは自宅介護をコメディタッチで描く、 介護エンタテイメント・エッセイだ！

「ごめん、ヒデちゃん。もう限界」 　八回休憩したら夜にすると決めてあった。そして、これは今日八度目の僕の休憩宣言だった。隣を歩くヒデちゃんは足を止め、首を回して辺りを観察した。

第五話「月移花影」が、あいるねえさんの「ゾロ目イベント」参加作品！！ 公開は3/3の早朝からです。 ジャスト3333字の力作(笑)。清春と佐江ちゃんの新婚物語を、ぞろ目短編でお楽…

この山には人食い鬼が出ると謂われている——。 浮世離れした旅の坊主と、後生大事に抱えたひとつの葛籠。 山で出逢ったのは、果たして。 続編がスタートしました。 → 【首葛籠】…

ボクシングの試合前日。 計量後に食べる、待ちかねたごはん。 一週間ぶりくらいに食べるごはん。 で、試合の後に食べるごはん。 「絶対にこれ食べたい、ってものある？」 「人生最後の…

ピエール：兄 ジャン：弟 舞台：フランス 赤と緑のショートストーリーコンテストは不参加ですので、場外編として。 お時間があればどうぞ。

会いたくて涙が出るほどの、恋をしていた。 「久しぶり」 クリスマスが過ぎ、新しい年の始まりが差し迫った年末。 ずっと避けていた故郷を、久々に訪れたその時。 イルミネ…

大型チェーン自転車店の店長。 売上が低迷していることを上司に告げられ日々の働き方を悩み続けている。 上手く行かないことばかりの毎日に、不安とあせりは積み重なっていく。 そんな中、…

その数匹の異形の生き物は町外れに突如として現れた。 その死体置き場に呼びつけられた生物学者の主人公が、解剖を通して至る結論とは――――。 道中全然怖くはないですが、結末が不…

僕は以前助けてもらった猫のクロと名乗り、金髪の不良高校生に近づく。心に暗い想いを抱えながら。

耳をそばだてては毎日聞き惚れていた、魅惑の声の持ち主は、ある日突然、侵入者となって「私」の前に現われた。 やがて形勢は逆転し……それから一年後、「彼女」はある契約を私に持ちかける…

一話完結。Twitterで書いたものを加筆修正してます。 女しか生き永らえない血統ながら、奇跡的に生き残った男児にまつわるお話。

ずっと好きだった「〇〇ちゃん」が亡くなってからの約1年を書き連ねました。〇〇ちゃんにまつわる思い出と、最近知ったこと、もやもやすること、そして遺された僕・かめぱんと〇〇ちゃんが大…

不思議な話やちょっとした怪談をたまに追加していこうと思います。ホラーエッセイに近いかも。すべて一話完結のオムニバスです。

わたしはブルージュで出会った風景に心を惹かれた。そして写真を撮った。 その写真とまったく同じ絵葉書が、なぜかお土産屋さんで売っていた。 衝動買いして買った絵葉書を、いろんな人に向…

学校ではクラスメイトのいじめを受け、家へ帰っても自分を待っていてくれる家族などいない高校1年の男子。 もう全てを投げ出してしまいたい。そう思いかけた彼を、風変わりな若い男が引き止…

東洋水産営業部の若手ホープ・布滝美鳥(ぬのたき　みどり)は、緑のたぬきをうどん大国・香川に売り込みに行けと命じられる。 圧倒的そば逆境の地で、果たして緑のたぬきは売れるのか……？…

　止まったはずの音なのに、耳を傾けずにはいられないんだ。 ※本作はフィクションであり、実在の事物を題材としたものではありません。

　幼少期から幽霊が見えるという霊感体質である私。 　私は、雨の日が苦手だった。 　理由は、雨の日だけバス停に現れる女の子がいるから。だが、私の霊感体質は、雨の日だけ発揮されるわけ…

閉鎖された現代社会において、感情を抱えきれずに死んでしまう人（自殺者）が増えたため、ある企業が作った感情を預けられるコインロッカー。そこには人間のさみしさや悲しみ、そして幸せが詰…

1995年1月17日。かつてない大地震が神戸の街を襲った。 震災で家族を失った常木藍花は、避難先である男に出会う。 ※「赤いきつね」「緑のたぬき」幸せしみるショートストーリーコン…

うちのアップルパイは、塩の味がちょっと強い。呪われているからだ。

カクコン短編の参加作品です。 5才だったスマイルは、雨の中を魔女ドーリーに拾われました。 スマイルが12才になったとき、ドーリーは言いました。 「アタシちょっと球根になるわ」 …

時計の歯車を飲み込んだことが頭から離れない少女は幼馴染になんとなく話しかけた事で運命が少しずつ回り始める……。 運命と文脈、そして生きることを巡る高校生たちの青春物語。

海へ向かって走る車。 運転席の女が映画の話をした。 助手席の女は、その映画を「知らない」と答えた。

駆け出し作家のyukiが、編集の小林に呼び出された。 二作目の原稿がどうも、ボツっぽい…… どうしても、二作目を書籍化したいyukiは単刀直入にボツの原因を聞き出そうとするけれ…

私はきっと、異星人(エイリアン)なんだ。 だって普通とは違う。 私は女で、そして女の子を好きになった。 この星の重力は重すぎて、 この星の空気は息苦しい。 だからきっと、私…

桃子は、ちょっとせっかちな天才発明家。 ある日、彼女は世紀の大発明、タイムマシンを完成させる。 タイムマシンの性能を実験するために、桃子は『マルちゃん緑のたぬき』にお湯を入れ、3…

プロダクトデザイナーとして働く入社三年目の留衣。彼女の仕事はベンチをデザインすることだ。 三年目らしい仕事へのもやもやが募り続ける日々の中で、留衣は上司の哲からある大きな仕事を任…

　思ったことは正直に言うけど抜けている女の子と、彼女の世話を焼くお助け役な男の子のお話。 　自主企画『第一回オカン（男子）文学大賞』参加・応募作品でした。小説家になろうでも公開…

都会に憧れた主人公が、初めて東京へひとり旅をするお話です。 おみやげから展開していくショートストーリー。

カクヨムWeb小説短編賞2021【短編小説部門】 　　　☆短編賞☆を受賞致しました　読み切りでコミカライズします！ （満月の晩に泉にいるのは鶴ばかり） それは誰もが幼い頃から繰…

私のもとに掛かってきた一本の電話。 その電話は、私の運命を狂わせ、……ない電話だった。 「あぁ～、何か分かるかも」 あるいは、 「ないわ、この人ないわ～」 と皆さまそれぞれの突っ…

高三の夏、妹と一世一代の大喧嘩をした。 仲直りは、まだしていない。 ＊＊＊ かつて私たちは仲の良い姉妹だった。 母と妹、そして父。ありふれた機能不全家族の、薄っぺらいクッショ…

「おじいちゃん、ここって何の部屋？」 「おれの仕事部屋だ」 私が興味を示したのに気を良くしてか、祖父は座椅子から立ち上がった。杖をついた足でゆっくりと私を追い越して、居間と仕事部…