コインロッカーに詰まった感情のそれぞれに思い出の味が残っているというこの物語の事実に愛情を感じます。感情は世界と触れあって増えるもののような気がします。そして世界を知りすぎて感情が増えすぎてしまった人が、この物語の主人公であると思います。主人公は他の人が普段何気なく忘れてしまう行為を覚えていて、だからこそ感情をもてあましてしまうのです。そこにあるのは誰かのことを考えるほど、感情が増えてコインロッカーに満ちてしまうという残酷な世界です。しかしそれでも誰かと向き合おうとし続ける主人公に、愛を感じてなりません。二人がこれからも幸せに暮らすことを願います。とても胸の温かくなる話をありがとうございます。