何度でも繰り返し読みたくなるお話です。ひとりぼっちの男の子、それを拾った魔女、魔女の家で暮らし始める少年。設定はありきたりに見えますか?中身は全然そんなことはない。枯れることなく繰り返し読んでもいつでも瑞々しいお話だと思います。周りを見回して、厳しい人、意地悪そうに見える人、そう思えた人たちって、時が経った時にどう感じるでしょう。自分を成長させてくれるものはなんだろうと、思わず振り返るお話でもあります。ぜひページをめくってみてください。
魔女は、ちょっと球根になってくるといって、球根になります。意味わかりませんか?主人公のスマイル少年も意味わからなかったし、読んでいるわたくしも意味わかんねぇ! と叫びました。心の中でね。でも、ちゃんと狙いがあったみたい。なんと、球根は10年かけて芽を吹き、葉を茂らせ葉物野菜になり、と進みます。そのあいだに魔女球根の世話をしているスマイル少年も成長していろいろなことを知ります。魔女に対する気持ちが変化します。
ママとはぐれた「ぼく」は魔女ドーリーに拾われる。血の繋がらない交流は七年続き、「ぼく」はドーリーに不満を抱くようになる。そんな「ぼく」に、ドーリーは怒ることも悲しむこともなく一言だけ告げるのだ。球根になってくると。タイトルの破壊力に惹かれて読み始めましたが、心温まるストーリーにすっかり魅了されました。球根になってしまったドーリーに、再び会うことはできるのか。優しいファンタジーに、目が離せなくなることでしょう。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(422文字)