この作品は、隣の部屋から聞こえる不気味な音に悩まされる主人公の物語です。新しく引っ越してきた隣人夫婦が巻き起こす奇妙な出来事が、夜ごとに主人公を不安にさせます。物語が進むにつれて、最初に提示された説明が覆され、最終章では新たな謎が加わり、読む者をさらに混乱させます。なめらかで美しい文章と緊張感のある展開が、終わりまで読む者を引き込み、再度の訪れを促す魅力的なホラー作品です。
文章が格調高いです。主人公の語りから始まるのですが、乱歩のそれを思わせます。友人と共に住んでいる主人公の隣にアベックが越してきます。しかし夜中になると隣の部屋からおかしな現象が起こります。それについての謎はいったんは解明されるのですが、最終話はその怪異現象が新たな意味を持ち、読者を困惑させるのです。ちゃんとホラーしています。理不尽で不条理です。僕は読み終わってからもう一度最初から読み始めました。そうさせる力がこの作品にはあります。
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