物事には限度があります

 ネットバンクの恐ろしいところ。それは「手数料」である。

 何とかクライアント先から給料を前借り出来た野ばらだったが、残り400円を振り込むために、1000円札を突っ込んだため、手持ちが一円玉だけとなったらしい。

「1000円以上のチャージじゃないと受け付けねえとかふざけんなよ転売ヤーのすくつのくせに。」

 名誉のために言っておくとこのローンは何も野ばらの転売ではない。裁断済みや、古い資料など、すべて百合愛よ創作活動によるものだ。野ばらは結局、百合愛の豪火担なので、欲しいと思ったら直ぐに買ってくれる。

「俺は働いてるから。」それが口ぐせの野ばらの負担は計り知れない。

「書きたいんだろ? 読ませろよ。」

 毎月働いても働いても、「現金」が残りない野ばらにとって、「現金」は貴重だ。中には事務屋の癖に事務仕事を増やしたくないと宣う給料泥棒もきょうかいしせつにはいる。

 徹夜をして、午前中眠って、それでも原稿が気になって1時間ごとに目が覚める。

 お腹はペコペコだけど、それよりも人に会いたい。

 そんな気持ちで、いつもの居酒屋に向かったらしいのだが。


『なぁ、百合愛。トイレでうんこした後に、戻ってきたらいつの間にかアルバイトの話が出てて、ムスリムとヒンドゥー教徒に日本教が喧嘩売ってる場面二出くわしたんだか俺が悪いのか?』

「うーんこの。」

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