おさかな教会奮闘記〜ご都合信者達に追放されたのでご都合教会を作ってやります!(現在進行形)
PAULA0125
おめでとう? 腐女子は〇〇に進化してしまった!
「ここを私たちの教会とする!!!」
「住むの俺なんだけど?」
田舎から訳あって飛び出してきた2人の女。
1人は杖をカツカツとつきながらも、素早く歩き、力士の死体が入っていそうな総重量のキャリーバッグ、いや、キャリーダンプを操って先頭を歩く和装。
1人は両手に何も持ってもいないのに、ゆっくりふわふわ浮かぶように歩き、あとからよろよろついていく、妄想こじらせオタクが喜びそうなおかっぱメカクレに白一色のワンピース。
ワンピースは一足先にこの街にやってきたので、今日は和装の引越しの見学に来たのだ。聖書より重たいものを持ったことがないワンピースに、引越しの手伝いなど無理な作業である。
「そういえば家を借りる時って、職業書くんだよね。なんて書いたの? ニート?」
「作家だ、作家! お前と一緒にすんな!! 俺ァこれでも文章で金貰ってんだぞ。お前みたいな同人誌じゃねえ、企業相手に、だ!」
「ほうほう。初任給いくらだった?」
「振込手数料と給与形式確認してなかったから500円ちょい。」
「先月は?」
「引越し計画で忙しかったのと、仮住まいのところの愚頭をシバいてたからゼロ。」
「…暮らして行ける?」
「暮らすしかねえだろ。」
「やだオトコマエ。私じゃなかったら抱かれちゃうね。」
「とりあえずお前は、俺が買ってきたコミケの戦利品でも読んでろ。駿河屋行きと保存用分けといて。」
「はぁーい!」
不自由な身体に見えつつも、重い荷物を軽々操る和装の女、
おとぼけ調子で明るいながらも、ヒールを履くことすら難しいほど儚いワンピースの女、
この2人はただのオタクでも、腐女子でも、教会に通うクリスチャンでもない。
「ところでお前はシェアハウスでは職業何にしてるの?」
「ん? 腐教家。」
「…日本語って、本当に便利だよな。」
―――説明しよう!!
腐教家(ふきょうか)とは!!
現代キリスト教社会にうんざりした、とあるカトリック教徒2人しか名乗っていない超特殊希少な職種である!!
説明無しだと「布教家」と勘違いされるため、多くの人々は2人を熱心なクリスチャンだと勘違いするだろう。しかし―――。
「ところで、最近の教会のトレンド何?」
「田舎にいた時と同じだぞ。人の不幸で自分の慈悲深さをアピールしてる。」
「じゃあやっぱり次の新刊は『テロリストとしてのイエス』ね。当時の法律の註解とか裁判記録なんか集められた?」
「モチのロン。
「わかった。あと終末思想だったらどこが新しくなった?」
「顕正会。アポはとれなかったけど、新聞なら半年分貯めてある。」
そう。
やっていることは!!!
徹底したフィールドワークと学術的根拠に基づいた、徹底したキリスト教批判なのである!!!
一般人たちは忘れているか、あるいは知らないかのどちらかだろう。
『コイル祭り』しかり『ゴミ拾いオフ会』しかり。
オタクを怒らせると、斜め上に恐ろしいのである。
何はともあれ。
新天地にて、百合愛は相棒の野ばらの家にて、腐教家として、ここを(半分勝手に)「教会」にすることにしたのである。
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