仕事の話をしています

 野ばらも百合愛も、大なり小なりマグロである。常に動き続けていないと落ち着かず、「ぼーっとする」というのは寝ている時だけだ。

 百合愛の場合は、何かやりたくなったら、資料を読み込めばいいが、その資料費の分割払いが一年分あるという野ばらは、その動きを常に賃金の発生するものに変える必要がある。

『ああ、野ばらさん、おまたせしてすみません。野ばらさんの男性向けシチュボ、来週発売されますよ。』

「あれ? 今週じゃありませんでした?」

『大人の事情というやつで。』

「もしかしてサンプル聞いて女優さんの演技でイキっぱなしになった感じの?」

『いや、どちらかというとノイズでして。どこかの家の換気扇のようなものがずっと入っているんですよ』

「教会の聖堂に確かに換気扇はついてないですね」

 何度でも繰り返すが、野ばらは現役のカトリック教徒である。

「それでですね、リーダー。私思うんですけど、アダルト実演部門と、女性向けBL部門の運営に協力させていただきたいんです。」

『ああ、実を言うと誘おうと思っていました。』

「サークル運営の知識でよければ、お役に立ちたいです。」

『ぜひぜひ。それじゃあ詳細を…。あ、待ってください。運営に興味のある子がもう一人いますので、呼びますね。』

「分かりました。」

 またいつも通り、盛り上がるんだろうな、と、思いながらくつくつと鍋を煮る。しかし、その後、日付が変わるまで、野ばらは降りてこなかった。どうせ仕事になだれ込んだのだろう。

 いつでも鍋が温められるようにしておくと、0時半過ぎに野ばらが降りてきた。

「お疲れ様。」

「お、いい匂い。すいとんか?」

「うん。エロゲの仕事?」

「そう。」

「触手もの?」

「いや、結腸責め。」

「オーディオ作品で表現するの、難しくない?」

「いや、肛門を2つ増やしたら出来た。」

「ちょっと何言ってるか分からないですね。」

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