もう慣れた
百合愛は人見知りが激しい。しかし懐いた人にはペラペラ喋るし、特に嫌な思い出がないところであれば、1人でも歩いて行ける。
今日は野ばらを誘って、施設の職員と遊びに行くことになった。
なったのだが。
「なあ、俺たち東口で降りたよな?」
「うん。」
「4分で着くはずなのに、どうして10分以上歩いてんの???」
「ビルが多いから、Google先生も役に立たないねえ。呼ぼうか?」
「そうしてくれ。杖族は限界だ。」
そう言って、西口に来てしまった2人は、職員を待つことにした。
10分後。
「お待たせ! 野ばらちゃん、元気そうで良かったわ!」
「………。あ!? 遠山さん!?」
百合愛は言葉を失って、目を瞬かせている。
「そうよ〜。オフの日はこの格好なの。ふふ。」
そこだけ、新宿二丁目だった。しかしそこで、ドン引きするようなヤワな野ばらと百合愛ではない。フィールドワークは、何も教会関係だけではないのだ。
「え、女装が好きなの? それともトランスジェンダーなの?」
「女装が好きなバイよ。」
「素敵じゃん! 男で一番好きな人と、女で一番好きな人がいるってことでしょ?」
「そうよ! 分かってくれるのね。」
「バイなんて沢山会ってきたけど、女装家は初めて見たなぁ。ねえ、そのおっぱいどうやって作ってるの?」
「これはカップよ。ヌーブラもしてる。」
その後、百合愛と野ばらは、真っ昼間から酒を飲み、遠山の性事情について興味津々だった。2人がそういう創作をしており、何より百合愛の才能を見抜いた遠山は、割と生々しい話もしてくれた。
「ちなみにその姿の時はなんて呼べばいいの?」
「さくらよ。」
「さくらおねーちゃん!」
勿論その後2人は、高級ではないものの、普段と比べたら高級な食事をご馳走になり、最後はスターバックスで新作を飲み尽くしたのだった。
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