ピキピキ

 いつもは大抵の事はケロッとして切り替え、愚痴を引きずらない野ばらだったが、さすがに今回ばかりは凹んだ。

 百合愛も確かに凹んだが、こうまで野ばらが凹んでいるなら、自分でどうにかできる分はするしかない。

「なんだろう、なんでハッキリと、「自分の風評被害が怖いんで関わりたくないです」って言えないくせに、いきなりブロックだのなんだのしてくるんだろ。対話の余地もないし。大体なんだよ契約書って。同人誌に契約書書くなんて聞いたことねえぞ。」

「プロに頼んだからじゃない?」

「物語そのものはちゃんと読んでくれてたんだぜ?」

「でもその感想や心の動きより、ブランドが大きく見えたんなら仕方ないじゃない? 実際、原理主義者おおばかものが、キリスト教モチーフの作品を壊したりするのは有名だけど、ニュースにならないから、尚の事過敏になるんだよ。」

「つか何? 前回決めたことをなんでもう一度うだうだ2時間もかけて決め直して、結論がアレって何よ。最初から「それもう決まってますよ」って言っても聞きやしない。」

「そりゃ相手が申告していた病気の特徴だからね。」

「俺はお前の作品の価値がダダ下がりするような、クオリティのバチクソ低い聖書小説(笑)も委託でおいてたんだぜ?」

「そりゃだって、お金になるからね。」

「あと、あのアンソロジーがおじゃんになったのは、ハマスのせいであって、俺らのせいじゃない。」

「でも常識人なまけものは分からないんだよ。勉強嫌いだし、トーシロの書いたバイアスだらけの新聞紙ペーパーの受け売りだし。」

「とりあえずさぁ、暫く雄叫びあげていい?」

「多分私も同じ雄叫び上げたいから一緒に叫ぼう。」


 ぼんやりとしていた野ばらの目付きが、悔しさと怒りに滲んだ。


「この臆病者!!! プロ気取り!!!」

「エロ書く人にセンシティブ語る資格無し!!!」


「「約束破りのバッッカヤローーーーーー!!!!」」


 今日もおさかな教会は、教会組織と社会常識と戦っている。

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