怒ってませんごめんなさい

 ダメージを負った人間が、何かを作り出すことは中々に難しい。3日かけて宥めて宥めて励まして、泣きじゃくる成人女性(年上)が寝込むのを起こし、励まし語りかけて、その上で自分の仕事もやりながら、今日の晴れの部隊のために自分の新刊のサンプルも用意する。

 並大抵のことではないだろう。

 しかし、そんな時に限って、体力よりも気力よりも先に尽きるものがある。

 それは。


「矢追町8丁目から1丁目まで全滅!」

「こちらJR前立線ぜんりつせん沿いのドンキ。ブラザーだけがない!!」


 そう。である。


「どうすんだよ!? この分量であの値段取れねえぞ! たかが汁の分際で人の生死分けるようなことしやがって!!」

「もちつけ凡マネよ。そこに慶弔ペンがあるじゃろ?」

「まさかの一点もの!?」


 決戦は12時間後。

 果たして百合愛の渾身のイラストは届くのか。

 そして中身の100枚を超えるイラスト達はどうなるのか。

 さらにそれを編集する野ばらに新しい契約は来るのか。


 いつになれば「夜明け」と言えばよいのか分からない、永遠の「寝るまでがイベント前日」が終わらない。

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