戦士に休息はない

 書け、書け、とにかく書け。

 野ばらが倒れた原因は、案の定「過労」だった。直近のスケジュールは問題ないように見えた。外へのバイトも少ない。

 だが、レコーディングを見ると、医師に指示された時間以外、ほとんど仕事をしていた。野ばらは記録の経験からして、仕事は8時間がデッドラインだが、3ヶ月くらい前から、10時間から12時間働いている。

 野ばらは社会向けの資格をいくつか持っている。つまり本来なら給料をとれる身分と専門性がある。だが、それらの時間に該当する給料が入っていない。つまり、無償労働していたのだ。理由は分からない。恐らく職業倫理に抵触し、「仕事にしてはならない」からなのだろう。


 それ以外の仕事は、主にトライアルだった。多くのジャンルに手を伸ばし、報酬のあるコーチングモニターなんかもやっていたらしい。

 なんでそんなに働いているのか、と言ったら、考えられるのは一つしかない。だ。


 外に働きに行けない百合愛ができることは、ただ一つ。だ。

 書いて、書いて、書きまくること。それを野ばらに託すこと。年に十回ほどの、唯一の百合愛の「仕事」。


 大丈夫だ。自分は12時間で4万字書けた。トラウマと闘いながら、入稿してみせた。

 あと八話だ。絶対に間に合う。


 おさかな教会、二年越しの大作。

 夏コミへの参加条件「見本誌提出」の時間まで、残りの24時間を切った!!


 ―――

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