引き寄せの法則、なのか?
「そのバイト、私やっちゃだめ?」
「は!?」
それは前日のことだった。野ばらが支払いのプレッシャーに寝込みながらも、何か密に連絡をとっている時、ふと、「あと一人分…」と、呟いたのだ。
なぁに、と、それとなく聞くと、明日の野外での仕事の参加者が、1人分足りないらしい。いわゆる実施ラインらしいので、この1人がいないと、野ばらの仕事も道ずれでなくなってしまうということだ。
愛する相方がこれ以上ないくらいに弱っているのだから、ここは一皮向けなければ心が包茎というものである。
「大丈夫か? 知らない人たくさんだぞ。」
「野ばらが一緒にいたら大丈夫。」
「ニコニコしてるだけじゃダメだぞ。話しかけるんだぞ。」
「取材先と同じようにすればいいんだよね?」
「たちんぼだし。」
「立ちっぱ、ね。立ちっぱ。」
「お店に誘導しないといけないし。」
「アンケート書いてもらうだけでしょ。」
「何より俺が初めてだ!」
「でも野ばら、初参加のイベントで私の作品、野口さん数十枚叩き出したじゃない。」
いつもならガンとして譲らない野ばらだったが、支払いで頭がだいぶせっついているのか、了承した。
それが昨日のことだった。
「もう二度と、お前連れていかねえ。」
「ただのガチャだよぉ。」
結果として、アンケートを貰ったのは、百合愛の方が多く、なんならチームで1番の成績は百合愛だったし、クライアントも褒めてくれた。
問題は、アンケートの中身だった。
「なんで「好きなアクセサリー」のインタビューとアンケートで、細木数子の弟子とか左翼とか右翼とか捕まえてんだよ!!!」
「なんでだろうね???」
「ホントだよ!!!」
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