論理的 #とは
「箔がつく」というのは大事なことである。
それは百合愛がとても気にすることだった。
百合愛の筆力は誰しも認めるところであり、いわゆる「作家買い」をする人もいる。しかし百合愛は、正直な話、「若輩者の信者の意見は聞かない」という、およそ10年前の田舎での扱いを、未だに根に持っているのである。
「というわけで、上智大学の博士課程を卒業したい。」
「その心は。」
「上智大学の博士後期課程を修めると、バチカンのお墨付きがもらえるから。」
「その予算は?」
「お願いします。」
「…遠い目標でもいいか?」
「うん! 今ムカつく信者が在籍してるらしいし。」
「アッハイ。」
というわけで、隔月で定期預金をしている百合愛と野ばらであるが、この度、百合愛からの無茶振りが追加された。同人誌制作に、とある有名人を巻き込みたい、ということだった。
かくして、野ばらは百合愛を伴って、その有名人を納得させるべく、かれこれ半年通い続けている。信者バスを使えば無料で行けるので、そのへんは問題ないが、「手土産」効果を少し期待している。
その時も協力を仰いだが、もう一度話しがしたい、ということで、次回の面談の予約を入れて終わった。
「なあ、百合愛…。」
「なに?」
「宗教的トランスに論理性を見出そうとするのは間違っているだろうか。」
「なんかラノベにあったね、そんなタイトル。」
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