愛でたい日

「百合愛! 俺でも結婚できる方法、やっぱりあったよ!」

「マ?」

 野ばらと桜桃子の事情は色々と複雑だ。主に経済面が、である。

 そして二人共、同居しての結婚生活―――つまりは、事実婚も出来ない事情があった。

 それでも野ばらは「結婚」がしたいという。今のままでは、要するには割り切った関係と見られても仕方がない。

「子供の戸籍とか、どっちになるの?」

「今日公正証書役場に行く時間がなかったから、そのへんも合わせて話聞いてくる! 締切全員倒してから。」

「大分先じゃない?」

「うるせえ。まあ、子供は確かに、今の俺の家の家具家電のローンが終わってからだな。」

 野ばらが幸せそうに、あそこのジュエリーで、あそこで結婚式で、と言っている間、百合愛はというと。

「ちなみに、おさかな教会は続けてくれるの?」

「あたりめーよ。心配すんな。子供が生まれても同人誌は買うし、おさかな教会もちゃんと運営する。」

 野ばらの笑った顔に、棘は何もなかった。

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