相棒がいない日
月に一度、野ばらは田舎に帰る。受信のためだ。田舎が遠いので、田舎に住んでいる恋人の挟桜桃子の家に2泊3日し、疲れをとって帰ってくる。
自分は今暮らしているところが病院の系列の施設なので、毎日が通院のようなものである。
「百合愛さん、バイタル測りますよ。」
「…はーい。」
「また朝ごはんの時間寝てたでしょ。冷蔵庫に入ってるから、温めてね。」
「ふぁ〜い…。」
欠伸をし、素肌を出そうとして―――戻した。
「さっっっ…!!!」
「大丈夫、ヒートテックの上からでいいから。薄いから、それ。」
ならいいか、と、百合愛はパジャマの右袖だけ脱ぐ。遠山の金さんみたいだな、と、うつらうつらしながら思う。
「血圧は120の98ですね。」
「高くない?」
「差が30くらいなら全然平気ですよ。あと今日寒くて血管が縮こまって、血圧が高くでます。」
「ほへー。」
自分の創作に使えるかなぁ、と、思いながら、頭の中のメモに書き留める。
「今日も出かけるの?」
「うーんと…。」
いつも遊びに行っている教会のミサの司式は、好きな神父ではないらしい。
「いーやぁ。寒いし、野ばらいないし。」
「野ばらさんも療養しながらの一人暮らしなんだから、あんまり居座らないようにね。」
「はーい。」
あの建物がもうすぐ「教会」として人を招けるようになるように、魔改造中なのは黙っておこう。
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