第30話 ざまぁまでのカウントダウン・④
「ああ……素晴らしいですわ」
エレーナ嬢がうっとりとした眼差しで俺を見つめてくるから、急にいたたまれなくなった。
「あの、えと、その、」
「見目麗しく知略に優れ人望があり……ねえ、大統領になった後はいかがされますの?」
「あう。ええと、誰でも政治に参加できるようにしたくって」
「「!!!」」
「今はまだ、知識も何も無いけれど、平民学校を増やして行って本を売りまくって、そうしたらきちんとした知識を背景にして、国のために意見や提案を出せて、国やみんなのことを考えられる人が増える……と思うんです。いつかは全員で国を動かしたいけれど、今しばらくはそう言う人たちに助力を求めて……」
あっ、鼻血!?大丈夫ですか!?
エレーナ嬢が慌ててハンカチで鼻を押さえている。
「お、お体の調子が!?」
俺は慌てた。
エレーナ嬢に何かあったらと青くなった。
「失礼しました……興奮しすぎたようですわ」
えっ、あっ、これって……興奮すること?
そこまでのことじゃないよな?
恐る恐るみんなに同意を求めたら何故かみんな揃ってあきれた目で俺を見てきた。
「あの、あの、一応パルベッヘル公爵家は国王側になっちゃっているので、その、命までは取らないようにしますし、いっそ、その、貴女の大事なご家族ですから、」
「そんな……どうして処刑しないのです?彼らこそ一番の障害でしょう?」
待って待って待って、彼らは貴女の実の家族じゃないか!
処刑するのが当然みたいな言い方、いよいよ怖いです。
「いや、その……貴族は魔法が使えるし文字の読み書きも出来るから、利用できるじゃないですか」
俺も……相当に酷いことを言っている自覚はあるけどさ……。
「まあ!魔道器の生産がもっと進みますわね!そうすれば価格も低く出来て、平民にも行き渡りますわ」
「は、はい。なので、ただ殺すのは止めておこうと……」
「何て……素敵なんでしょう」
実は、俺もだ。
ぞっとするほど怖いのに、エレーナ嬢が素敵でたまらない。
案外、俺と彼女は似たもの同士なのかもな。
「幸い魔力制御の魔道器も完成したので、平民でも彼らを監督できますからね」
ドミニクの力でも壊せないことも確かめてある。
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