番外編・終 ジョフロワの墓前にて・①
あなた、聞いて下さいな。
今度は男の子よ。あなたとマオンそっくりで目がぱっちりしていて。
もう5人目の孫だから……なんて思えないの、孫はみんな可愛いわ。
すごくお乳を欲しがって大変なのよ。お嫁さんが特に……。
でもね、きっと大きく育つわ。
……今でも私は魔族の人達を許せないの。
オールー公爵領に行商に来ていたあなたは巻き添えで殺されてしまった。
好きで殺してなんかないにせよ、殺したのは間違いなく魔族の人達だから。
でもね、閣下は許さなくて良いっておっしゃった。
もう敵じゃないって思ってくれるだけで充分だって。
魔王が私達のような遺族の前で手をついて謝って、言い訳なんかせずに私達の恨みと悲しみを受け止めたことや、アズーラン君みたいな誠実な魔族の姿を見たこと、魔族側が受け取るべき魔道器の売り上げの一部から、私達のように傷つけられた全員に相応の補償があったことで、被害者としての感情が落ち着いたのもあるわ。
情はどうしようもないにせよ、魔族はしっかりと理を通した。なのに私達がこれ以上情に訴えたら、今度はこちらが理を通していないことになる。
商人として理を通さないのは重大な信用問題でしょう?
あなただったら必ずそう言うわ。グーッと顔を一気に険しくする所まで目に浮かぶわよ。
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