第10話 復興と金儲けと慈善と・①
「その……俺とドミニクが義兄弟の盃を交わして、そうなると魔族の名誉挽回と汚名返上のために俺も何かしなくちゃいけないことになりまして」
まずはオールー公爵領のみんなから、魔族への恐怖と偏見を少しずつ変えていくのが良いだろう。今のままで王都にドミニクを連れて行ったら俺まで間違いなく国家反逆罪で処刑される。
魔王と言う桁違いの脅威を王都に連れてきた時点で、絶対に俺達の話なんか聞いて貰えない。
「ちょうどその頃、テテ河に関する河川工事やダム造成、後は高台に避難所を作ろうって話が出ていたんです」
人手はいくらあっても足りない所だったのだ。
「俺様達が【魔石】をくれてやった上に作業の手伝いまでしてやったんだぞ!」
「それは!?それは何でしょうか!?」
エレーナ嬢の食いつきがすごい。
実は『遠音機』や『携帯計算機』も【魔石】を組み込んだ【魔道器】の1種類だ。
魔族は魔物の体から【魔石】を摘出して加工することが出来る。
大きくても小粒の真珠ほどだが、『大量の魔力を安定的に保持できる』という特性を持っている。
破壊魔法を魔力として込めれば、いつまでも魔石はそれを保持できるのだ。
元々は邪神との戦いのために密かに開発してきた技術なのだが、もう邪神は封印できたので用済みとなる……訳がない。
燃える破壊魔法を込めた魔石をほんの少し傷つけると、熱が少しずつあふれ出す。
でもそのままじゃ熱すぎて危険だ。
ただ……俺の生活魔法の中にある【湯たんぽ】や【お弁当】と組み合わせたらどうなる?
寒い時にどこでも暖を取れるし、あっという間に熱々の料理が食べられるじゃないか。
爆破の破壊魔法を込めた魔石を傷つければ、すぐさま爆発を呼び起こす、でもそれだと自爆するだけだ。
そこで俺の【目覚まし時計】と組み合わせたら、指定の時間の後に爆発するようになった。
これを使えば……ダムを造るときに山の斜面をちまちまと人の手で削っていくより、爆破した方が手っ取り早いし結果的に安全じゃないか?
まだまだ、ある。
【すすぎ】と【回復魔法】を組み合わせたら、綺麗な水が無くても傷の応急手当が可能だし、【拡声器】と【破壊魔法】の風を組み合わせたら、どれだけ距離が離れていてもすぐさま会話できるようになった。
【ゴミ処理】と【破壊魔法】なら、処分に困るような大きなゴミをきっちりただの土や水にまで還してくれる。
…………。
この【魔石】って、魔族の得意な【破壊魔法】や【回復魔法】だけじゃなくて、俺の【生活魔法】と掛け合わせることで、信じられないような可能性を生み出す……と思ったんだ。
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