第34話 暴かれる罪状・④

 俺だけで、元国王に会ってみることにした。


 「貴様!!!貴様も殺しておけば良かった!」

……開口一番で、それか。

「俺の親父を殺すようにイルバス男爵へ指図したのは貴方でしたか」

「それの何が悪い!朕こそが国王なのだぞ!朕の意志が国の意志、国の正義なのだ!ロベルトは朕にとって最大の邪魔であったのだ、一匹潰したところで何の問題も無かった!」

「あ、うん。そう言うのはどうでも良いんです。もう貴方は国王でさえないので……」

俺は鍵を取り出して、見つめながら考え込んだ。

さて、どうしようか。

元国王は回復魔法しか使えない。

ご自慢の由緒正しい血統の割に、信じられないくらいに貧弱な魔力しか持っていない。

「……。俺が邪神を封印するのに魔族の人達と協力したって知っているでしょう?」

「それが何だ!どうせ『地味豚公爵』なぞ最後尾で震えていて、頭の悪い魔王から功績だけ奪ったのだろうが!」

……。

やっぱり、止めだ。

コイツも、救うべきじゃない。

「貴様は今、俺の義兄弟をも侮辱した。

ドミニクがむざむざ功績だけ奪われるような愚者だと嘲った。

俺は最後に……貴様にも救いの手を差し伸べてやったのに。

愚かにもたたき落としたのは貴様自身だ」

「なっ、何だと……!?」


 俺は振り返らずに扉を開けて外に出ると、邪神の時と同じように鍵をかけて、その鍵を手の中で粉々に握り砕いた。

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