第31話 暴かれる罪状・①

 ……うーん。

クーデターって途中で何らかの突発的な問題が発生するものじゃないのか?

こっちの情報がどこかで国王側に露呈していたとか、誰かが、何かが、予想外のことをやってしまっていたとか、何かの偶然が重なって時間が遅れるとか、逆に早すぎるとか。

俺は新国王と新王妃の前で勢揃いする貴族達の最前列で、何でだろうと考えていた。

思っていたより上手く行きすぎて、万が一や不測の事態に備えて張りまくっていた予防線が全部……無駄になってしまった。

「オールー公爵よ、朕から礼を言うぞ。父を含め腐敗していた連中を朕が一掃することが出来たのはひとえに汝の絶大な協力あってのものだ」


 俺が黒幕なんですけれどね、とは言わずに恭しく頭を垂れる。


 あと、俺の後にいるお前らと、俺の前で王座にも座っている貴様らもだよ。

 全員を調べたけどさ……驚いたよ、ことごとく腐敗しまくってたとはな。

 後で逃げようとしても全員逃がさない。

 権利ばかり享受して義務を一つも果たさない連中は、俺だけじゃない、エレーナ嬢も大嫌いなんだ。


 「陛下、一つだけ願いがございます」

「申せ」

「この度、汚職と収賄の罪で捕らえ牢屋に閉じ込めている者ですが、処刑すれば偉大なる陛下の慈悲の御心を苛むでしょう。また陛下と王国の輝かしき歴史に汚点を残すわけには参りません。どうか彼らを我が領地にて償わせて、更生の機会を与えたく存じます。何卒、陛下のお許しをいただけないでしょうか」

更生した、反省したとみんなが認めて許せば、な。

みんながダメだと言ったら死ぬまでダメだ。

「うむ、許す」


 ああー、良かった。

 いちいちみんなの手で教えるのは面倒だと思っていたんだ。

 みんなの生活もあるのに、余計な手間になっちゃうからさ。


 『先輩』がいれば、後から来ることになる『後輩』の管理も指導もしやすくなるだろう?

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