第27話 冬休み
終業式が終わり半日で帰宅した俺は瀬戸さんが作ってくれた昼ごはんを食べ、まったりしていた。
「冬休みだ」
「そうですね、ようやくです」
「瀬戸さんも嬉しそうだね」
「誰だって休みは嬉しいものですからね」
そう言う彼女はすごく嬉しそうだった。
「月城くんは冬休み何するんですか?」
「俺はまぁ去年のようにいきたいところだけど……」
去年の冬休みは毎日家の中でアニメを見たり、ゲームをしたり、二度寝をしたりなどなど怠惰の極みのような生活だった。
だが今年はもっと健康的に過ごさなければ瀬戸さんに怒られそうだ。
「まぁジムに行く回数を増やしたりして健康的に過ごすよ」
「おお、偉いです! 月城くんの口からそんな事が出てくるとは……本当に成長しましたね」
「ま、まぁこれくらいはね」
相変わらずこの人は俺のことを褒めてくれるな……
彼女に褒められるのはすごく嬉しいがたまに自分がちゃんと一人の男として見られているのか不安になる。
それかこれが彼女なりの精一杯の褒め方なのかもしれないな。
「そういえば月城くん、クリスマスの予定はどうなってます?」
「……」
「月城くん?」
瀬戸さんが無自覚に俺の心の傷を抉る。
クリスマス……そういえばそんなものあったなぁ……最近はずっとクリぼっちだったから……
去年のクリスマスは一人小さなケーキを買って食べたが今年はどうしよう……
「特にないよ」
なぜ彼女が気になるのかわからないがとりあえず答えておく。
「そうなんですね! よかった。」
彼女は心の底から安堵したようにそっと胸を撫で下ろした。
もしかして瀬戸さんもクリぼっちなのかな?
いいや、それはないか。清華さんと水瀬さんがいるし。
あの二人に限って瀬戸さんと一緒にクリスマスを祝わないなんてことはないだろう。
「月城くん、今年のクリスマスは一緒に過ごしませんか?」
「え?」
今彼女なんて言った? 一緒にすごす? 俺と瀬戸さんが?
情報の処理が追いつかず固まっていると瀬戸さんが不安そうな表情をしていた。、
「だ、駄目ですか……」
「いや、むしろこちらからも全力でお願いしたい!」
俺が慌てて彼女に答えると彼女は不安そうな表情から一気に満面の笑みへと変わった。
「よ、よかったです……断られたらどうしようかと……」
「断る? 俺は瀬戸さんの誘いは絶対断らないよ」
「だって彼女とかと過ごすのかなただ思って……」
「俺に彼女はいないよ、一度もいたこともない。だから瀬戸さんの誘いはすごくありがたいし、嬉しい。」
「そ、そうんですね! ……よかった」
彼女はなぜかとても嬉しそうに微笑んだ。
まさか瀬戸さんとクリスマスを過ごせるなんて……夢みたいだな。
学校の聖女様とクリスマスを過ごすなど学校の男子共からしたら喉から手が出るほど羨ましい状況だろう。
「ふふ、クリスマスは美味しい料理たくさん作るので楽しみにしておいてくださいね。」
「うん、楽しみにしておくよ」
「私もすごく楽しみです」
今年のクリスマスは楽しいものになりそうだ。
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