第47話 期末試験のご褒美

 終了式が終わり今日から春休み。


 そして午前で式が終わり帰ってきた俺は、今———


「あのー、瀬戸さん……」


「はい、なんですか? 月城くん。」


「なぜ俺は帰ってきて早々に膝枕をされているんですかね?」


「期末試験をよく頑張ったご褒美です。月城くんは自分から言い出し辛いでしょうし」


 終了式数日前に行われた期末試験試験はどの教科も実に点数がよく、今回は12位という結果だ。


 今回は結構気合を入れて勉強したのでその成果が出て俺は非常に満足していたのだが……何故かこんなことになってしまった。


「本当に月城くんの髪はサラサラですね。すごく撫で心地がいいです」


 俺の頭を優しく撫でながら瀬戸さんが言う。


 最近はシャンプーや、リンスもこだわっていてどれも少しお高めないいやつを使っている。そのおかげで以前よりも髪がサラサラになった。


「なんか猫や犬を撫でてる時の感想みたい」


「ふふっ、だって月城くんが可愛いからいけないんです」


「俺そんな可愛い?」


「ええ、とても」


 瀬戸さんの手が俺の前髪に優しく触れ、俺の前髪を横にずらした。


 さっきまでわざと前髪で目の前のさ景色を隠していたのにそれがどかされ瀬戸さんの慈愛に溢れた微笑みと二つの膨らみが目に入り、俺は慌てて目を逸らした。


「月城くんの黒くて綺麗な目、私好きです」


「俺の目は他の人たちと変わらないと思うけど……」


「いえ、私は月城くんの優しい目が好きなんです」


「……ありがと。そう言ってくれたの瀬戸さんが初めてだよ」


「月城くん照れてます?」


「……照れてない」


 俺はそんな彼女の指摘にただ顔を逸らすだけだった。


「そういえば瀬戸さんは今回も一位だったね流石だよ」


「ありがとうございます、月城くんに褒められると嬉しいです」


 今回のトップスリーは1位瀬戸さん、2位水瀬さん、3位清華さんといういつもの三人だが水瀬さんと清華さんの順位が入れ替わっていた。


 清華さん、水瀬さんに負けて滅茶苦茶悔しそうだったなぁ……逆に水瀬さんはめっちゃドヤってたけど。


「俺だけご褒美もらうのも悪いし瀬戸さんも何か欲しい物とかある?」


「私は大丈夫ですよ、今日は月城くんのご褒美日ですから」


「じゃあ俺にして欲しいこととかない?」


 その瞬間瀬戸さんの表情が固まった。


 明らかに動揺している。


「俺も瀬戸さんにこんな素晴らしいことをしてもらったからさ、なんでもするよ」


「わ、私は大丈夫ですから! ほら、月城くんももっと堪能してください!」


「本当にいいの?」


「うぅ……」


 先程まで俺を揶揄っていた彼女が明らかに動揺した様子を見ていると実に気分がいい。


「今日だけだよ?」


「……」


彼女はかなり悩んだ末に恥ずかしそうに頬を赤く染めながら小さく呟いた。


「じゃあ……お願い聞いてくれますか?」


「もちろんだよ」

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