第25話 聖女様の労い
「ふぅ、疲れた……」
あれから2時間ほどトレーニングをして帰路についた。初日にしては頑張ったほうだと思う。
にしても和馬さんはまだやるとか言ってたな。あの歳であの体力とはたいしたものだ。
俺も毎日とはいかないが週三くらいで通うとしよう。
マンションについた俺はエレベーターに乗り込み自分の階のボタン押す。
そしてようやく部屋の前に辿り着き扉を開けようとして驚いた。
(空いてる……ああ、そうだった瀬戸さんにカギを渡しておいたんだったな。)
俺はそのまま扉を開けた。
部屋の中はいつも帰ってきた時とは違い、明るく、そしてとてもいい匂いがした。
「月城くん、おかえりなさい。」
キッチンから出てきた瀬戸さんはエプロンをつけていて若妻みたいだった。
こんな幸せがあっていいのか……!
こんなに可愛い黒髪美少女が自分の家で帰りを待っていてくれるなんて最高すぎる。
「月城くん、お疲れ様でした。ジムはどうでしたか?」
「結構良かったよ、常連の人とも仲良くなれたし」
「それは良かったです、でも約束は守ってくださいね?」
「わかってるよ、今日も無理しない範囲でやってきた。」
今日は2時間やってきたがしっかりと休憩も入れながらやったのでそこまで無理はしていない。
しかし人に身体の心配をしてもらえるのがこんなに嬉しいとはな。
「月城くんお風呂入りますよね、先入っちゃってください。」
「ありがとう、そうさせてもらうよ。」
「ふふ、疲れてるでしょうしゆっくり入ってきてください」
微笑みながら優しく労ってくれる彼女はまさに聖女様だった。
◇
俺が風呂から上がり、リビングに向かうと部屋の中に美味しそうな匂いが漂っていた。
「いい匂い……今日はなに?」
「今日はミネストローネです、最近すごく寒いですからね。」
「いいね、俺ミネストローネ好きだよ」
「それは良かったです、いまよそるので座って待っていてください」
俺は彼女に言われた通りに椅子に座って待つ。
ミネストローネを器に持ってくれている彼女はとても綺麗だった。
「お待たせしました」
「おぉー!」
運ばれてきたトレーの上には木の器に入ったミネストローネと少し焼いてあるフランスパンと食パンが置いてあった。
「ミネストローネにパンをつけて食べてみてください。」
「美味しそう……じゃあ、いただきます。」
まずはミネストローネだけで食べてみると口の中にトマトの香りがふわりと広る、そして細かく切られた野菜はよく煮込まれていて柔らかい。
次にパンにつかて食べるとカリカリのフランスパンがミネストローネで少ししなっとなってスープを去っているのがすごく美味しい。
やっぱり瀬戸さんの料理は美味しいな。
俺が料理に舌鼓を打っていると瀬戸さんが子供を見つめるような温かい眼差しでこちらをみていた。
「どうしたの?」
「いえ、本当に美味しそうに食べてくれるなと思いまして」
「瀬戸さんの作ってくれる料理はどれも美味しいからね、当然だよ」
「ふふ、本当に嬉しいことを言ってくれますね。おかわりもありますからたくさん食べてください」
「おかわり行ってくる」
「もうですか?」
「だって美味しんだもん。」
その後おれはミネストローネを3回おかわりした。
【あとがき】
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