第34話 聖女様のお部屋訪問

 風呂上がり、俺は用意された部屋でくつろいでいた。


「こんないい部屋を用意してくれるなんて申し訳ないな」


 一人で泊まるには十分な広さがあり内装も高級感のある家具が一式揃えられていて実に過ごしやすい。


 中でも一番いいのがベットだ。試しに寝てみたのだがめちゃくちゃ寝心地が良かった。今まで寝たベットの中でダントツ一位だと思う。今夜はよく眠れそうだ。


 そんなふうにくつろいでいると部屋がノックれた。


「月城くん、まだ起きてますか?」


「起きてるよ、瀬戸さん。」


 そう返すと扉が開き、可愛らしいパジャマに身を包んだ瀬戸さんが現れた。


「瀬戸さんそれいつもそれ着てるの?」


「そ、そうですけど……あ! 今子供っぽいって思いましたね!」


「いや、すごく可愛らしいなと」


 彼女がきていたのは愛らしいくまさんがたくさんプリントされたとても可愛らしく微笑ましいものだった。


 まさか瀬戸さんがこんなに可愛いパジャマを着てくるとはな。


「むぅ……それ、褒めてますか?」


「もちろん褒めてるよ」


「……どこら辺が可愛いですか?」


「うーん、すごく照れてるところとかかな」


「そ、それはパジャマのことでありません!」


 彼女は頬を母軽く膨らませてぷいと拗ねてしまった。


 だがそんな拗ねている姿さえすごく絵になっていてかわいい。


 いつもは揶揄われる側だったが今日は瀬戸さんに勝つことができた。


「ごめんって、それでどうしたの?」


「いえ、寝る前に少しお話ししたいなと

思って」


「いいね、俺もまだ起きてるつもり

だったし」


「良かったです、では失礼しますね。」


 そういうと瀬戸さんはベットの上にちょこんと座った。


 そしてその隣をトントンと叩き座るように合図する。

 

 俺もその合図に従い彼女の横に腰を下ろした。すると彼女の方からふわりととてもいい香りがした。


 そういえば彼女もさっきお風呂に入っていたな。よくよく見ると肌が微かに朱色に染まりとても艶っぽかった。


「月城くん、今日はありがとうございました。とても楽しい大晦日でした。」


「いや、礼を言いたいのは俺の方だよ、誘ってもらえなければこんな素晴らしい時間を過ごすことはできなかったり。誘ってくれてありがとう。」


「本当に楽しかったですね」


「本当に楽しかった。出来れば来年も誘って欲しいかな」


「分かりました、また来年一緒に年を越しましょう約束です」


「うん、約束」


 二人で小指を結ぶ、そういえば瀬戸さんとの約束はこれで2回目かなんか嬉しいな。


 来年瀬戸さんと俺の関係が今のように続いているかはわからないがただいていることを心の底から願った。


「えいっ!」


「うお!?」


 するといきなり俺は横に引っ張られた。


 そしていつのまにか膝枕をされていた。


「ふふ、やっぱり月城くんはこの体勢が一番可愛いですね。顔真っ赤ですよ?」


「だ、だってこの体勢だと色々危険というか……」


 相変わらず視界の半分は二つの果実で覆われていて見えない。それにこの状況だと反応を隠すこともできない


 だがやはり彼女の膝枕は非常に心地よく、ベットも相まってとんでもなく熟睡できそうだ。


「ふふ、さっきのお返しですよ。」


「これは過剰に返しすぎては……」


「いい子、いい子。月城くんはよく頑張っていますよ。えらいえらい」


 ここまでくると本当に子供扱いされているような気がするが不思議と恥ずかしさはあまりなくむしろ優しい肯定の言葉がとても心地いい。


「瀬戸さん、今年も一年またよろしくね」


「こちらこそ、月城くんとの一年楽しみ

です」


「ところでそろそろ解放して欲しいんだけど……」


「まだ駄目です。私が満足するまで離しません。大人しく甘やかされてください」


 この状態の彼女は何を言っても聞いてくれそうにないので俺は抵抗するのをやめもう全力でこの状況を楽しむことにした。


 そんな俺を見て瀬戸さんは微笑むと俺の頭を優しく撫でた。


「ふふ、今年もたっぷり甘やかさせてくださいね? 月城くん。」







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