第13話 聖女様と猫たち

「はぁ〜……可愛いです……」


「ああ、すごく可愛い。」


 彼女の周囲にはにはすでに多くの猫が集まっていて一人一人順番を待つように瀬戸さんから撫でられるのを待っている。


「瀬戸さんすごいね猫たちがすごく気持ちよさそう……」


「ふふ、撫でたりするのは月城君でよくナタされてますからね。」


「ちょっ! ここでは恥ずかしいから!」


「そうでしたね。」


 さっきから瀬戸さんが危うい発言をするせいで周りの店員さんやお客さんからすごく微笑ましい目で見られていてとても恥ずかしい。


 そして撫でられた猫たちはゴロゴロと喉を鳴らしながらもっと撫でて欲しそう彼女を見つめている。


「ふふ、もっとですか? 仕方ありませんね〜」


 そう言って瀬戸さんは再び猫たちを撫でると猫たちも気持ちよさそうに目を細めていた。


 待てよ? これいつもは俺が猫の立場にあるってことは……側から見たらかなりすごいことしてるな……。


 そんなふうに思っていると俺の膝の上の猫が鳴いた。


「にゃ〜」


 まるでそっちばっか見てないで早く撫でろ。と言われたような気がして俺は急いで猫のお腹を優しく撫でる。


 すると猫は気持ちよさそうに目を細めて、だらりと脱力して完全に心を許してくれた。


「可愛いすぎる……」


 この白い猫はユキというメスで性格は誇り高くあまり懐かないらしいが何故か俺にだけはよく懐いてくれていた。


「その子本当に月城君のこと大好きみたいですね。」


「1時間くらい一緒に居ただけなんだけどね」


「大切なのは時間の質ですよ、ユキちゃんにとって月城君との1時間はそれほど心地よかったのでしょう。」


「そうかもしれないね」


 1時間撫でてたおかげでこの子の性格や、撫でられたら嬉しいところなど様々なことを知ることができた。


 時間は量よりその質、かいい言葉だ覚えておこう。


「私もユキちゃんの気持ちはよくわかります。私にとっても月城君との時間はとても楽しく、幸せなものですから」


 またしても危うい彼女の発言に多くの人が孫を見るかのような温かい目で見つめてくる。

 

 本当ににこの人は無自覚で困る。


 するとカフェの店員さんがカメラを持ってこちらに近づいててきた。


「そこのカップルのお兄さん、お姉さん写真を撮りませんか?」


「い、いや! べ、別に俺たちはカップルじゃーー」


「あら、違うのですか? 月城君」


「せ、瀬戸さん!?」


 まさかの裏切りに彼女の方を見ると彼女はいたずらが成功した子供のような笑顔をしていた。


 その間にも店員さんはすでにカメラをこちらに向けシャッターボタンに手をかけていた

た。


 なるほどもう退路はないということか……

ならもう諦めよう。


「いいですねー! 初々しいですよ!」


「さ、撮りましょう。彼氏君?」


 俺は抵抗は無駄だと知り観念して写真撮影の位置についた。


 そんな俺の心情も梅雨知らずユキは俺の膝の上であくびをしながらゴロゴロとくつろいでいた。


「すごい周りが猫だらけなんですが……」


「何故かさっきより増えてますね」


さっきは一桁だった猫が今では何十匹もの猫が俺と瀬戸さんの周りに集まっている。


  てかこれこのカフェの全部の猫集まってるんじゃないか?


 それほどまでに聖女様の動物に好かれる性質はすごかった。


「はーい撮りますよーお二人とも笑ってーはいチーズ! ……はいオーケーです! お疲れ様でした!」


「「ありがとうござました!」」


「では少々お待ちくださいね。」


 そういうと店員は店の奥へときてさえていき、2枚の写真を持って現れた。


「こちらお写真の方ですね。」


「え、でもこれって有料じゃ」


「サービスですよ、それにこちらもたっぷり楽しませていただきました!」


 この人たち人が恥ずかしがってるの見て楽しんでたのかよ!


 そう突っ込みたかったが写真をもらってしまったのでやめておく。


「じゃあね、ユキ。またくる」


「にゃ〜!」


 まるで俺の言葉がわかったように返事をしたユキがまたいつでも来てと言っているふうに聞こえた。


 こういう愛くるしいところがあるから猫は可愛いんだな。


「また会いましょう、カカオ、ミド、フェア、ミルク、チョコ、ホトーー」


「全部覚えてるの!?」


 俺たちは可愛い猫たちに別れを告げ猫カフェを後にした。



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