第5話 聖女様の頬はすべすべぷにぷに
眠りから目を覚ますと彼女がひょこっと顔を覗き巻き込んできた。
「おはようございます、月城君」
「お、おはよう? え、俺寝てた?」
「はいそれはもうぐっすり、疲れていたんですから当然ですね」
どうやらいつの間にか寝てしまっていたらしい。しかも彼女の膝の上でだ。
こんな状態でしばらくねていたなんて……
それに彼女にももしかしたら迷惑をかけてしまったかもしれない。
「ご、ごめん長い間辛い体勢にさせちゃって」
「いえ、寝ていたのは1時間くらいです。それに寝顔も子供みたいで可愛かったですよ」
そういうと彼女はスマホを取り出し一つの動画をを俺に見せた。
その動画には瀬戸さんの膝の上で気持ちよさそうに寝ている俺がしっかりとうつっていた。
まさかこんなに熟睡していたとは……しかもそれを瀬戸さんにずっとみられていたなんて……
「うぅ、恥ずかしい……」
「本当にとっても可愛かったですよ特に寝息がーー」
「あーもうストップ! ストップ!」
「ふふ、そう言うところも可愛いですよ」
俺は不服そうに少し頬を膨らませてみるが彼女に頬をツンツンされ無駄に終わった。
「月城君、結構お肌に気を使っているのですね」
「ん? まぁね結構ちゃんとケアしてるよ」
俺は自分をかっこいいとは思わないが少しでも周りにそう思われるように肌のスキンケアや髪の手入れは毎日欠かさず行っている。
まぁ、ここまでやってもかっこいいと思われたことはないんだけどーーっと一人言ってくれた人がここにいた。
彼女が言ってくれたかっこいいと言う言葉は思いの外嬉しく俺の毎日の努力が全て報われた気がした。それくらいここ数日で瀬戸真奈は俺の大切な存在になっていた。
「本当にいいことですね、そういう身だしなみがちゃんとしてある男性は素敵ですよ」
「良いこと言いながら俺の頬引っ張るのやめてくれません?」
「ぷにぷにです」
彼女がやめそうにないので俺は対抗するように彼女の頬の触れた。
彼女は一瞬驚いたような顔をしてからどうだと言わんばかりの自信に溢れた表情になった。
「どうです? 私もケアをしているのでスベスベぷにぷにでしょう?」
その言葉通り本当に柔らかく、スベスベしている。ほっぺってこんなにいい感触なんだな。
「流石ですね瀬戸さんも毎日欠かさずケアしてる証拠だ」
「月城君こそあのもちもちぷにぷに加減は相当苦労したでしょう?」
実際これは毎日の美容の成果だ。瀬戸さんにここまで褒められると本当に嬉しい。
俺たちはお互いに褒め合いさらに絆が深まった気がした。
「では、私は夕食の準備をしますね。」
「うん、頼むよ。」
「あ、そうそう聞きそびれるところでした」
彼女は何かを思い出したようにハッとすると俺の方へ振り向いた。
「私の膝枕どうでしたか?」
「ど、どうって?」
「ほら、感想とか感動とかあるでしょう?」
「か、感想かぁー……すごく柔らかくて暖かくて、心地よかったよ」
彼女の膝は本当に柔らかくどんなにいいベッドで寝るよりも疲れが取れそうなくらい素晴らしい寝心地だった。
実際かなり疲れが取れた気がするのだ。
俺が感想を言い終えると彼女は少し頬が赤くなっていた。
「ま、まだ他にありますか?」
「え、ええ〜……そ、そうだなぁ……」
大体思いついたものは言ってしまったし、もう言うことがない気がするが……あ、そういえばまだあれがあったか、いやいや本人を前にしてそんなこと言うのはどうなんだ? しかしこれ以外に思いつかない!
俺は言うか言わないか迷ったがこれ以外に無いと思い渋々口を開いた。」
「け、景色がすごく良かったです……」
あの二つの果実が大きく実った光景は忘れることがないと言うか忘れることができないだろう。それほど衝撃的な光景だった。
俺が勇気を出して伝えると彼女は何を言っているのかわからないと言う顔で首を傾げた。
「景色がですか? 月城くんの位置からでは天井しか見えないと思うのですが……」
「いやわからないなら大丈夫だから!」
俺が慌ててフォローするが時すでに遅し。少し考えてどういう意味かわかったのか瀬戸さんの顔がさらに真っ赤になった。
そして自分の胸を腕で隠すようにう覆った。
「つ、月城くんって結構エッチなんですね」
「い、いやあれは事故というか偶然……必然というかー」
「エッチな月城君は知りません」
彼女はぷいっと顔を晒すとそのまま台所へと去っていってしまった。
「いや、違う! 違う! 誤解だー!」
その後彼女の機嫌を直すのに苦労した。
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