第16話 誕生日プレゼント選び
「待たせたわね、悠真。」
「いや、俺もいま着いた所だよ。」
学校終わりの放課後俺は清華さんと待ち合わせをしていた。
理由は瀬戸さんの誕生日のプレゼント選び。俺はまだ彼女がどんなもので喜んでくれるのかよくわからないため瀬戸さんとの付き合いがかなり長い清花さんにきてもらった。
「じゃあ早速行きましょうか、早く帰してあげないとあの子がかわいそうだし。」
「うん、わかった」
俺たちは早速目的地に向かって歩き始めた。
ちなみに目的地はショッピングモール内にある店らしい。
彼女と一緒に歩いているとやはり視線をすごく感じる。
彼女も彼女でその容姿は他を圧倒的に凌ぎ恐らく瀬戸さんと並べるレベルの美人でしかもスタイルもいい。
そんな完璧美人がパッとしない男と街を歩いてるとなると釣り合ってないと思われても見られるのは当然か。
瀬戸さんで慣れたと思ったんだからまだ慣れないな。
「ちなみにどんなものを買おうとしていたから聞いていい?」
「ケーキとか、お菓子とかかな」
「まぁそれもありだけどどちらかというと物の方がいいわね。」
「物?」
「ええ、残らない使い切りタイプの物よ。今の貴方たちの関係ではこれが一番いいと思うわ。」
残るものはあまりあげない方がいいのか……
俺はあまり他人にプレゼントやサプライズをすることがないしされたこともない。
本当にこういうのには疎いので清華さんのアドバイスはすごく助かるものだった。
「ちなみにずっと消え物をあげるわけじゃなくて関係に応じてかえていくのよ。そこのところよく覚えておくように。」
「は、はい!」
やっぱりこの子読心能力でも持っているんじゃないか?
そう思うくらい彼女俺の心を的確に読んでくる。
「ならいいわ。貴方にはかならずやってもらいたいことがあるから……」
「やってもらいたいこと?」
「まだいうべき時ではないわ。あなたがあの子の気持ちに答えた時話させてもらうわ。」
「そういうことならわかったよ。」
「ま、あなたならきっとやり遂げてくれるわよ。私はあなたがそういう人だと信じてる。」
彼女はそう言って美しく微笑んだ。
「さて、着いたわよ。」
「ここは……」
「さ、入るわよ」
◇
瀬戸さんの誕生日プレゼントを選び終わった俺たちは店を出て帰路についていた。
「ありがとう、清華さん。おかげでいいものが選べたよ」
「ふふ、いいのよ。それに私はアドバイスをしただけで最終的に決めたのは貴方じゃない。」
確かに最終的には俺が決めたがちゃんと選べたのは清華さんが一つ一つ丁寧に説明しながらつきあってくれたからだ。本当に彼女には頭が上がらない。
「本当にありがとう、お礼はさせてもらうよ」
「じゃああの店のケーキ全種類買ってもらおうかしら?」
「そ、それはちょっとお財布の方がーー」
「ふふ、冗談よ。8個くらいでいいわ」
それでもかなり多い気がするが彼女には感謝しているので今度並んで買っておこう。
「瀬戸さん……喜んでくれるかな?」
「不安なの? 安心しなさい、きっとすごく喜ぶわ。 貴方からの贈り物だもの。」
「俺からの?」
「ええ、女の子ってのはね、物も嬉しいけど何より自分を思ってプレゼントを選んでくれた相手の気持ちが何より嬉しくてたまらないの。」
「そういうものかな」
「そういうものよ。これも大切だから覚えておきなさい」
「う、うん」
「じゃあ当日頑張りなさい、誕生日の翌日、真奈の最高の笑顔が見れるのを期待しておくわ。」
「もちろん。」
「ふふ、楽しみにしてるわよ。」
そう言って彼女は去っていった。
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