第6章:砂漠の古城

第27話・攻略砂の居城:密入国

 砂漠の入り口にある村、そこでいろんな話を聞く。砂漠地帯は広く、古い遺跡などたくさんあること。


 土地の取り合いがあるが、基本は先に入った者、言った者が優先される。オアシスなどはそれらしい。管理できる者がそこを手に入れられるそうだ。後から宣言することはできないとのこと。


 そうすれば我々プレイヤーでも一国の主らしい。そこを維持できればの話だが。


「なるほど」


「前にこの岩山は自分の物と言っていたもんがいたが、往復と砂嵐で勝手に潰れたねえ」


 そんな話を聞きながら、情報を集めて準備する。マントを着込み、水を大量に買い込み、砂漠へと向かう。目指すは水瓶が指し示す道。


 アイを抱っこ紐で背負い、両腕にクリスとシロを付けて、キノは肩に捕まって歩く道のり。クロが先行して偵察してくれる。残念ながらこの子達しか連れていけない。


 昆虫系のモンスターが多くいて、サボテンなどの採取ポイントがある。サボテンは【水サボテン】と言う名前で、飲み水を確保できるし、種類違いで【コーラサボテン】がある。


 アイにキンキンに冷やしてもらい、飲みながら進む。クロが見つけたセーフエリアを軸に、次のセーフエリアと繋いで前へ前へと進む。


「このサボテンとポーション作りに役に立つかな?」


 試しに色々してみると、サボテンがポーションを吸って【ポーションサボテン】になった。飲んでみたが甘く美味しい。苦みが無くなった、マナポーションも試したが、回復量そのままで、美味しくなった。


 これは画期的だなと思いながら、とりあえずキノ達とで増やしておく。


 プレイヤーも多少はいるようで、各々好きに動いて探索している。途中であった遺跡に集まるプレイヤーが多く、まずは遺跡攻略と言うプレイヤーが多い。それか件の鉱脈を狙い、砂漠を探すプレイヤーなどがいるようだ。


「ん、イベントの告知か」


 どうやらイベントが近々開始されるらしい。用事を早めに終えなければいけない。


 そうして三日、それを見つけた。


 ◇◆◇◆◇


 深い深い谷底が広がり、砂の滝が流れる大穴があった。


 その中心に大きな山、岩の城のような建物があり、一本の橋によって行き来できるらしい。


 遠巻きから、視線を感じるので砂に隠れながら確認する。誰かいる様子はある。


 スキルのおかげで望遠鏡無しで先を見ることができる。よく見ると建物があり蠍らしいモンスターが徘徊し、骨だけで飛行するモンスターが辺りを飛び、橋の入り口は強固な門で守られている。守っているのは悪魔のようなモンスター達。


 ここで水瓶を使うのはまずいので、ここに当たりを付けた。水瓶はここにある、無ければ移動すれば良い。


 表から入る? 否、きっと中に入ることはできないし、警戒態勢が高くなるだろう。入るなら裏手からだろう。こうして侵入ルートを決めて入ることにした。


 モンスターは【スケルトンバード】が空を守るだけ。距離は大体百メートルくらい、もっとあるか?


「………クロ、ちゃんと背負われててね」


 頷くクロを背負って、お姉ちゃんパワーを見せてやりましょう。


 百メートル以上の高跳び、いざ開幕。


 ここからなら見つかる心配はない。視線の気配は一番少ない位置から走ることにした。崖に向かって跳ぶ。自殺行為だろうが、そうならない裏技がある。私はそれを維持できることを信じて跳ぶだけだ。


 第一回目、10メートルも跳べないね。


 だが落下する前に闇魔法【ダークチェーン】が放って、闇の鎖は腕に巻き付き、振り子のように私は跳ぶ。


 次は【エナジーシールド】。空中に現れた盾を踏み、さらに跳ぶ。この頃にはさすがにスケルトンバード達はこちらに気づく。


「クリス」


 クリスの糸がスケルトンバードに巻き付き、さらに距離を稼ぐ。


 時にはスケルトンバードを踏み抜き、突撃してくるスケルトンバードはクロが忍法石礫でけん制する。


 アイの氷のプレスを下に吐き、その勢いでまだ空中に入る。


 スケルトンバードの背に乗り、しばらく休憩してから先へと進む。


 休むと言ってもそんな暇は無い。少しでも時間が経つとまっすぐ落ちていく。悪いが落ちている暇は無い。


 バインドを使い、バードを固定して踏み抜けて跳び上がる。


 こうして………


「おいどうした?」


「いや、鳥がいつもよりうるさいなと思って」


「ん………問題ないだろう。魔法で空を飛ぶ者なら結界が反応するし、自力で飛ぶ奴はスケルトンバードで足止めされるし、他に橋以外でここに来る奴はいるか?」


「だな。さすがにいないか」


 そう言う悪魔達の話し声を聞きながら、壁に張り付く。


 スケルトンバードは悪魔達があっち行けと命令したからか、離れていった。ラッキー。


「さてと、自然回復まで壁にしがみつくか」


 こうして自然回復後、岩の城へと侵入して、倉庫の奥に箱庭を置いてログアウトした。明日はここの探索だ。


 護衛としてクロを外に置く。長く行動できるように魔力を渡してから。


 ここからは休みなく行動しないと、次のログインで解決しないといけないな。


 私はスケジュールを組みながら、一度ログアウトして、時間を見る。


 今日は課題を早く片付けて、備えなければいけないな。


 見つかって、無関係なら、とりあえず謝れば良いよね。


 そう決めて私は課題を片付けるために背伸びしたのでした。

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