第20話・雪原地帯へ

 みんなでゲームをやるようになったが、セツナ以外とは行動を共にしない。箱庭のホームにパーティを組み入れて、セツナにジュースを出しながら刀へとチャレンジする。ネットでだいたいは分かったから、試してから新フィールドへ挑む気である。


 カーン、カーンと鋼を打ち、丁寧に丁寧に作る。


「できた」


 できたのは刀剣と言うカテゴリーの新データ。まだ刀が未発見なだけにこれはかなりすごいことらしい。


「まああるんだからそのうち出るでしょ」


 そう話し合いながら、まあまあの性能の刀をセツナに見せるが、できればもう少し性能が欲しいのではないかと首を傾げた。


「あっ、そっか。お姉ちゃんは知らない? 装備品にも熟練度があって、強化するためには使い続けないといけないらしいの」


 なんでも魔剣などの素材を手に入れた検証班がいざ武器を強化しようとして、愛用の武器以外、選択肢が出なかったらしい。後々強化して強くするにも、使用し続ける必要があるようだ。


「これならまあまあ使えるし、サブウェポンとして使用するよ」


「はいはい、もう一つできてるけどどうしよう?」


 念のためにもう一本作れたが、クロが現れて見ている。使いたいのだろう。


 というわけでクロが刀を手に入れて、これから新フィールドへ挑む。


 新たなフィールドは『銀色雪原』と言う雪山らしい。


 暖かくするため、クリームにそれようの服装を作ってもらい、装備してから出向くのであった。


 ◇◆◇◆◇


 出てくるのはシマリス、鹿、イノシシや精霊系という状態。


 イノシシも出てくるが、驚くのはそこではない。


「『ベーコンマッシュ』に『出汁温泉の湯』。『ガーリックナッツ』や『さわやかミント』。『雪原藤』、『結晶花』」


 食材系アイテムなどが多数発見され、それを回収する。出汁温泉の湯はキノコとかの出汁だね。ベーコンマッシュは肉厚のキノコ。肉の味がいるらしい。焼けばおいしそう。


 卵に『クリーム鳥の卵』と言う濃厚な卵黄を持つ卵が手に入った。クリーム鳥も美味しく頂ける。


「お姉ちゃん抜きだとそんな食材アイテムは手に入らないよ!?」


 セツナはびっくりしながら手に入れたアイテムをメモり、これは料理スキルを獲得するしかないかもしれないと悩む。


 所詮は食材アイテム、売るか使うかしか道は無いが、現状プレイヤーは食に飢えている。田舎町で貢献度を上げて、味噌や醤油が買えるようになり、生産職のスレは熱狂しているとのこと。


「イベント最後にビーフシチュー作ったら喜ばれて、木工の人がお皿作って売り買いしてたからな」


「普通の人は食材アイテムは売るしかないからね。あれは喜ばれてたよ」


 手に入れたアイテムと料理ギルドで買えるのを見て、オムレツが作れると知ったら喜ばれた。お願いされてクランの人達用にもアイテム確保に回る。


 新しいアイテムで凍ったキノコ。『トウトウキノコ』など手に入り、凍傷対策になるらしい。あまり長い時間寒空の下にいるとなる状態異常だ。


「クロ、刀は気に入った?」


 頷くクロは刀を使い、器用に戦う。


 セツナも熟練度を上げるために使用して、一撃でモンスターを撃破する。凄いな。


 しばらくしたら、キノ、シロ、クロがレベル10になり、進化可能。


「これはゆっくり決めたいから、いったん戻ろう」


「うん」


 こうしていったん戻り、話し合いを始めるのであった。


 ◇◆◇◆◇


 キノコの妖精の進化先は、キノコの大妖精とポーションピクシーである。


 キノコの大妖精は料理特化になるらしく、少し身体が大きくなる。五歳以下の子供くらいかな?


 ポーションピクシーは回復魔法の使用率が高いとなれる。回復役だ。


 これは大妖精の方がいいかも。料理は一人にするには大変だからね。


 シロは通常進化らしい蜂の進化先と、銀世界の姫君という進化先。これは雪原地帯で討伐数が高いとなれるらしい。針を立てて私が殴り倒したからね、【格闘術】も中級になりました。


 銀世界の姫君の方が可愛いからそっち。氷魔法と加速がついて、HPが高くなり、私に張り付かなくても戦えるようになったよ。


 クロはバーサーカーと言う進化先の他に、シノビアーマーと言う進化先。刀や投擲でナイフを使い、身を隠すように戦っていたからだろうか? この進化条件が忍者のように戦う者がなれるとしか出ていない。シノビアーマーになってもらおう。


 キノは私の肩などに乗れなくなったが、動き回れるようになった。シロは優雅に飛び回り、喜んでいる。


 クロは鎧の忍者みたいになり、【刀術】や【忍術】など覚え、攻撃力と敏捷が上がった。


 手に入った物で、温泉卵やおでんを作る。コンニャクとかないけど、それなりに代用できた。


「ありがとうございます!」


 ハルルン達は喜びながらご飯を食べて、そのまま料理ギルドでレシピを売って欲しいと懇願された。レシピが売られれば、劣化したとはいえまともな食べ物が手に入るから。


 話を聞いて、王都のギルドに顔を出す。料理ギルドだけ丁寧に対応され、レシピを売ってあげたら喜ばれた。


 それと手に入れた食材素材も売って貢献度を上げておく。米が手に入り、どんぶりもできるなと思う。


 こうして王都も少しだが食料改善されるのであった。

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