第5話・進化と釣り

 レベルやHPの低いシロを連れて、森でレベル上げや新しいところは危険と判断。また草原でレベル上げに戻り、新しいスキル取りも止めた。暇な時間、料理開拓をすることにした。シロが蜂蜜を持って来たからね。


 市場などでアイテムが買えるか確認。買えた品物は塩と砂糖。小麦は【さらさら石小麦】と言うアイテム。岩塩を砕いた物と【砂糖石】と言うのを砕いた物。いくつかアイテム情報を手に入れて、キッチンへと向かう。


 まずは天然酵母を作ろう。リンゴを手に取り、発酵樽を使う。


 リンゴのパン種作り。蜂蜜、きれいな水、リンゴを用意した。時間が何日もかかるが、私には物のスピードを早める【促進】のスキルがある。


 これで何度か試したところ、質の良い【リンゴ酵母】が作れて、パンを作る準備ができた。


 調理者と言うことで私の名前が刻まれていて、そこからパンを作る。


 その間、醸造樽でリンゴ酢を作る。果樹酒も作れるが、酢を作ることにした。


「MP持つかな………」


 こうして食パンを作ることに成功。後はサンドイッチにしてみようか。


 お肉は無いから、野菜のサンドイッチを作る。よしよし、うまくできた。


 キノコも食用の物を取り出し、【乾燥】で乾かして出汁を取る。野菜のスープを作り出し、これで保存食とお別れだ。


「んーうまい♪」


 キノとシロも食べられる物を食べていて、これで食関係は解決した。


 色々施設を利用していると、料理ギルドと言うものもあって勧められた。今度登録するか。


 後はレベル上げで、モンスターと戦うだけだ。


 ◇◆◇◆◇


 モンスターと戦う時のスタイルは、シロは私の片腕に張り付き、針を突き出している状態。針で攻撃を弾き、突き刺して経験値をシロに与える。


 キノも頑張って体当たりを繰り返す。そしてついに、レベル5へとキャラクターレベルが上がった。


「ふう、久しぶりのレベルアップ」


 その時、キノが光り輝き、ウインドウが開く。


≪キノが進化可能になりました。以下の条件で進化可能です≫


≪マッシュマン 通常進化 獲得スキル NEW【毒鱗粉】 【毒耐性(小)】→【毒耐性(中)】≫


≪いやしキノコ 条件進化『進化条件:回復薬を100以上使用』 獲得スキル NEW【調合】 NEW【光魔法】≫


≪こううんキノコ ステータス進化『進化条件:主の幸運が一定以上』 獲得スキル NEW【幸運】≫


≪キノコの妖精 特殊進化『進化条件:こううんキノコといやしキノコの条件開放』 獲得スキル NEW【調合】 NEW【料理】 NEW【光魔法】 NEW【幸運】≫


 色々出てスクショしておく。妹に話してあげなきゃね。


 進化先はもちろん、キノコの妖精。色々できるようになるし、進化先の中でまだステータスは高い。


 進化するとキノコの傘を頭にかぶる小人さんになった。人型モンスターはゴブリンとかだから珍しいかも。


 女の子っぽくて、足元は不安だから肩に乗せる。光魔法を覚えたし、後衛として活躍してくれるだろう。


 せめてシロがレベル2、三人の戦闘に慣れるまで草原でレベル上げしようか。


 こうして私達はレベル上げにいそしんだ。


 ◇◆◇◆◇


 レベルが上がって森を進めるようになり、【釣り】習得のために花蜂蜜の森の奥にある集落の川辺に来た。


 シロは私の後頭部に張り付いていて、肩にキノを乗せている私は川辺の管理人からスキル習得について色々聞いた。


 釣り上げることはせずに3時間くらい釣りをしていればスキルを確保できるらしい。時間は長い。川辺で釣れなくても良いから糸を垂らして釣りをする。


 何回か魚は渡された餌にかかるが、逃げられることもしばしば。


 一応、シラユキアユとイワイワナ、ヤマヤマメメを釣れる。料理用に数が欲しい。


「………あっ、そうだ」


 私も【無魔法】がレベルが上がり、スキルの能力を使用するアーツが増えた。【バインドチェーン】と言う捕縛魔法だ。


 魚がかかると共にそれで空中に固定する。魔法陣から現れた鎖が魚を捕縛、それをシロが回収する。


 やってみたが管理人に注意されることはないため、何度も試した。繰り返しているとなかなか収穫率が上がる。なかなか入れ食い状態だ。


 そうしていると釣りスキルの習得値は高くなり、達成した。これでスキル習得完了。なかなかの収穫にホクホクする。


「なかなか奇抜な釣りをしていたみたいだね」


 苦笑されながら管理人さんに釣り竿を返す。今度は購入するか作るかしないといけないらしい。


「作る際は木材などのアイテムと【木工】スキルが必要だよ。釣り竿は安い物なら300Gだね。餌は30Gだよ」


「釣ったお魚を鑑定して売りたいんですけど」


「はいはい、どんなものがありますか」


 釣った魚はシラユキアユが5匹、イワイワナは6匹、ヤマヤマメメ8匹。


「後はビャクヤ幼体が一匹です」


「!? びゃ、ビャクヤだって!?」


 管理人さんが驚く。なんでもビャクヤは綺麗な水辺にしかいない、海の魚なのか川の魚なのか不明の、綺麗な水ならどこにでもいる魚らしい。


 ただ、その綺麗な水辺自体が問題で、本当に条件が厳しい。それがこの川で獲れるとなると、かなりすごい情報だそうだ。


「できればこの魚は買い取りたいんだ。川に放しておけば仲間が増えるかもしれないからね」


「また釣られる可能性はありますが」


「その辺りはここはしっかりしているから、確認は今後絶対にすることにするよ。だから頼む、ビャクヤを買い取らせてほしい」


 その話を聞いて、私はタダで渡すことにした。


「ほ、本当にいいのかい?幼体とは言え、ビャクヤは七大美食の一品だよ?」


「その七大美食?はよく分かりませんが、この子がこの川で釣れるようになれば嬉しいですから」


 というわけでビャクヤを川に戻すことに。アイテムボックスから取り出すと真っ白い魚が綺麗に光る。白い水晶のような鱗を持つ。


 川に戻す際は一度手の温度を低くしてから、ほらお帰り。今度は丸々大きくなってきてね。


 そう思いながら戻した瞬間、景色が変わる。


「?」


 景色が流れるように、新幹線とか、窓の外を見るように次々と変わる。


 深海らしき場所から綺麗な湖、様々な水辺が移り行き、私のお腹に何かがぶつかる。それを確保した瞬間、景色は元の川辺に戻った。


「んー?」


 首を傾げながら抱えているシルクのような真っ白い色の鱗らしいものを見る。素材アイテムの白夜の鱗、テキストでは綺麗な水辺で時折発見される鱗のような物。幸運のお守りになる。


 お腹に当たったのはこれだ。バスケットボールくらいの大きさの鱗。これは持っておこうと思う。町に戻り、色々買い込む。魚は売れてアイテムを少し買い足せた。


 これでサンドイッチに焼き魚を挟める。もう少し頑張りたいね、次はお肉獲得しようかと決めてログアウトした。

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