第43話・オアシス都市の日常

 ここはオアシス集落と言う名称が付けられ、多くの砂漠の民が流れてくる場所。


 ある者は水を求めて、ある者は食べ物を、ある者は富を、ある者は希少品を集めに流れてくる。


「よし明日の採掘権を手に入れたぞ。場所もなにが採れるか見せてもらった」


「宝石系でアクセサリーもありだね。レア度が高いと、強力な物になるから」


「鉄も貴重だぞ。装備用にいくつか確保したい」


「戦闘が無い代わりに迷宮のように複雑化しているから、案内コースありかなしかで迷ったぜ」


「ありの場合、確実に欲しい鉱石は手に入るからな」


「なしの場合、より深層に入り、発掘できるからな。レアなものが採れた話もある」


「迷ったが初めてだからありで行くぞ。まずは数を揃えるから、集中して採掘する。喧嘩はするなよ。出禁もあるからな」


 水を飲むプレイヤー達。中にはジュースにされたものを飲んで、最高だぜと言って、舌鼓を打つ。


「この星コーラってのうまいな!なかなかだぜ」


「ミックスジュースもうまいぜ」


「モーモーのミルクもうまい。島から持って来たのか、普通にいるな」


「おい、向こうで氷菓子にしたのがあるぞ。食べてみようぜ」


「七色ドリンク、汚染された大地を歩けるようにする浄化状態になるらしいぞ」


「ああ、ドリンクがほぼタダだから、持てるだけ持とう。アレンジしても効果が残るのは助かる」


「白夜も食べられるようになって、ほっぺ落ちそう!」


 ある者は店のために、場所の確保をして準備をする。


「いま一番プレイヤーが行き来してるから、ここで店は正解だな」


「ああ、品物集めが大変だが、今日も黒字だ。これなら活動資金はすぐに貯まる」


「乙女座ちゃんも休んでるらしいし、イベント進まないかな?」


 ◇◆◇◆◇


 三人の聖女達と乙女座メインの教会を作り、この辺りの浄化作業から解放されて、ゆっくり身体を休める乙女座。


 美味しい物を食べ、ゆっくりしていると、ここなら黄金樹の実も育つだろうと、種を渡した。


「黄金樹からなる木の実は神の呪いすら浄化する、七大美食というものの一つ、フルーツだ。育てられるか分からないが、やってみるといい」


「ありがとうスピカ様」


「まあ、白の女王がいるからな。デザートと共にここでできるだろう」


 そう言ってシロに種を渡して、シロも中庭で育てている。いまも巨大な花のつぼみがあり、そこから甘い匂いが漂っている。なにか育っていた。


 リオはその辺りは気にせず、好き好んでスピカのお世話をした。聖女と共に、それで三人の聖女と知り合いになり、大小あるが、好感度は高いようである。


 聖女同士仲が悪い(正確には、カトリーヌがシンシア達をライバル視過ぎて嫌って、シンシアはどうしましょうと頭を捻り、アニエスは無視している)。


 それでもリオが間に入ると、すんなり話が通り、各陣営の従者からも頼られるようになった。


 こうして過ごしていると、ハルルン達もここに合流。課題から解放された本当の妹は、新しい妹達に喜び、構いだすのであった。


 いまのところ、オアシスは平和に運用されている。

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