第3話・スキルを覚えよう

 妹が攻略で大忙しの中、私は薬の調合を試してみた。【下級回復薬】を自前で用意したかった。


 ネット回線はゲーム内からでも閲覧は可能。スキルを覚えるには攻略ページを見るに調合書と言うのを読めば良いらしい。


 図書室と言われる冒険者ギルドの部屋に入り、目的の本を読む。丁寧に本を読み終えるころには習得値は100になり、スキルを手に入れている。


≪習得値が100になりました。調合スキルを習得します≫


 かなり時間はかかるが、確実にスキルが増える。図書室では大人しく本を読む人が多くいる。マナーが良いね。


 今度はレシピを覚えたり、【採取】スキルを獲得する。薬草関係などの本を丸々読むと習得できた。


 生産する場合、生産施設を借りなければいけない。ギルドで簡単な物を作る施設を借りられるため、部屋を借りて【下級回復薬】を製作する。薬草、綺麗な水、スライムゼリーが基本らしい。


 そのまま作ったのは無味だ。これが基本らしいので湯がいたりしてみる。


 煮込む前に引きちぎったりすると、味が変わるのを発見。回復量も上がっていてこれで良しと頷く。


 その後はモンスターとの戦闘は大変だ。片手剣で攻撃を弾き、ノネズミを倒す。


 なるべく後頭部、腹など狙い、キノの攻撃が届くようにして戦う。


 回復薬はキノに使う。キノが死ぬと結晶と言うものに変化して、蘇生代が500Gする。死に戻った方が手軽だ。


 片手剣で攻撃を弾き、弾き、叩き、叩き………


「折れたーーーーッ!」


 片手剣が折れてすぐにアイテムボックスを開き、【錆びた長剣】を取り出す。


 弾き、たたき出すのだが、片手剣より弱いけど……あれ? 耐久値は結構あるじゃないか、【錆びた長剣】は耐久値は高い。君に決めた。


 とりあえずキノが頑張ってレベル3まで上げようか。ただただ叩く。


 【折れた錆びた剣】を片手に持ち、二刀流で噛みつきを弾き、突進を叩き落とし、キノを守りながら蹴りも加えて戦う。


 【ベビースライム】を蹴り飛ばして、ベビーキノコを叩き、ノネズミを怯ませて叩き割る。


 魔法が欲しい。エルフなのになぜ私は前線で戦うのだろう? 攻撃力を捨てて数で殴り続けることしばらくして【剣術】と【格闘術】を習得した。


 ◇◆◇◆◇


 町に戻り、自然回復でHPとMPを回復するついでに、なにかしらスキルを取ろう。スキル習得はいまのところ魔法以外は習得して損は無いとされている。


 魔法は弱点の属性、【火魔法】なら【水魔法】を習得できないらしい。最低四つ魔法は確認されている。習得方法もばっちりだ。


 冒険者ギルドで鍛冶師の元で技術を習得したいと紹介状を書いてもらう。紹介料としてお金は500G。その後はそれを持って、指示された鍛冶屋に入り、下請けの仕事をしてから鍛冶をする。私の場合、耐久値の回復なり、仕事は多い。


 自前で【折れた錆びた剣】に【錆びた長剣】の耐久値は半分くらい。回復させてを繰り返すと【鍛冶】を習得する。これで耐久値回復は生産施設でできるようになる。


 他に空いた時間で図書館の魔法関係の本を読む。タイトルで好きな魔法スキルを取るのだが、ほとんど貸出されている。


「あっ、あった」


 ランダム習得とされている本、欲しい魔法を選ばないために残っているかな? 確か【古代魔法文明の書物】。これがあった。


 読むとランダムで魔法スキルを覚える。いま利用している人達、プレイヤーは欲しい属性の魔法スキルを習得しようとしているから、余り物らしい。まあいいや、これをじっくり読もう。


 ………

 ……

 …


 知恵の女神はその英知を人々に教えた。


 火で風を飲み込み。


 水は火を消し。


 風は土を薙ぎ払い。


 土は水をせき止める。


 光は闇を払い。


 闇は光を覆う。


 知恵の女神は理を研究する。


 故に彼女は魔法の王なり。


 …

 ……

 ………


 読み終えた。


 本を返してスキルを確認する。なにスキルを獲得したか確認する。


「【無魔法】?」


 聞いた事が無いスキルが出てきた。


 スキルだけの技術、アーツも習得している。攻撃魔法【エナジーショット】と言うので、無属性の魔力の塊を撃ち放つらしい。


 とりあえず魔法を習得した。こうして私は次のことをすることにした。


 ◇◆◇◆◇


 設定したログアウト時間が迫る中、初回特典のランダムチケットを使おう。


 掲示板など見る限り、そのキャラクターにあったアイテムなどが手に入るらしい。レアアイテムは高性能の武器だ。


 と言うわけで、私も宿屋で使う。まず一枚、豪華な料理家具セット。


 内容は石竈、燻製器、チップ製作機、醸造樽×2、発酵樽×2。


 これはレア度が高く、まずは当たりらしい。妹に報告するためにメモに取り、二枚目と三枚目を使う。


 スキル【促進】と【乾燥】と言うスキル。乾燥は調合で使う薬の元を乾燥させる際に使えるらしい。促進は対象の時間を進める能力、未発見スキルだ。これと豪華な料理家具セットがあれば料理がはかどる。


「次は四枚目」


 豪華な服飾職人部屋と型紙五つセット。ホームや土地にセットすることで、服飾関係のスキル使用可能。型紙は、服を作るためにいるのかな?


「土地もホームもスキルも無いから、これはハズレね」


 豪華な料理家具セットも一部そうだし、次に期待。ラストは………


 ストローが出てきた。ただのストローと言うより、魔法陣のように文字が書かれ、一部鉄?で作られているストロー。



【飲食魔導ストロー】


 品質★9 レア度3


 テキスト:錬金術により作られたストロー。果実など水分を含む物に差し込んで吸うとジュースなど飲める。料理では血抜き、油抜きなど様々な用途で使われる。



 とりあえずチケットは全て使い、アイテムボックスで管理する。樽は使えるかな? リンゴなど今度手に入れよう。


 果物などはまだ手元にない。ストローも使用不可能だ。こうして宿屋でログアウトして、その日はゲームを終えるのでした。

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