第23話・奥にあるのは
奥へ奥へと進んでいく。すると広々とした洞窟が広がり、冷気が流れ込んでくる。
冷気の元は、凍り付いた白い魚。魚と言ってもかなり大きく、大きさはマグロなどに近い。冷凍マグロと言うには氷の山に詰め込まれていた。
「お魚ねー」
とりあえず氷を壊して手に入れよう。卵と言うわけではないため、私達は気にせず、氷を破壊。そしてそれを手に入れた。
白夜 レアリティ10 品質★エクストラ
テキスト:最高に育った白夜と呼ばれる魚。本来なら空間を閉じ超えて逃げるが凍り付いているため捕獲できた奇跡の一品。七大美食と呼ばれ、それは魚介料理では最高峰と呼ばれる魚である。
なんで君がここにいるのか?!
さすがに驚いた。小さな子はあったことあったが、まさか大きく育った子がここにあるとは。
驚きながら回収。辺りを見ると、白銀に輝く、肉の塊をいくつも発見する。
かなり大きく、一個だけ取り出せるらしい。取るのに時間がかかる。壁から生えた白銀に輝く大きな身。
アイテム名【燦然なる白夜】が手に入った。なんか凄いな。さらに奥へと進むと………
「来る」
ドスンっと上から、サソリが降りてきた。
【ァァァァァァァァァァァァァァァァ―――ッ!?】
咆哮、悲鳴とも取れる声を上げ、尻尾とはさみを振りかざす。
鑑定した結果、パラサイトスコーピオン。巨大な生き物に寄生して生活するサソリであり、尻尾の針には猛毒を持つ。ただの毒消しでは意味がない。
毒消しが意味無いのなら、ウチの子達には下がってもらおう。すぐにクロにアイを渡して、みんなを下げる。
「ふう、さてと………やりますか」
悲鳴を上げて襲い掛かるパラサイトスコーピオン。
長い時間になりそう。そう思いながら戦いは始まった。
◇◆◇◆◇
攻撃は激しく、ハサミと尻尾、牙ある口の攻撃に気を付けながら、対峙するリオ。
「右、左、尻尾、毒、毒、両側」
パラサイトスコーピオンの攻撃を的確に読み、弾き、防ぎ、避け続けた。
本来一人でパラサイトスコーピオンと戦うのは不可能だろう。パラサイトスコーピオンは雄叫び、ハウルがある。これを聞くと身体が硬直する。だが硬直するためにはかなり傍にいないとならない。
すぐさまその場から離脱すると、咆哮を上げた。
「よしよし、慣れてきた」
接近しては離れ、接近しては離れる。
繰り返し、丁寧に、ただそれを繰り返すだけだった。たった一人で、門番であるあの魔物を倒す気だ。
「うん、君。あそこより先には来ないのね。奥にある氷の塊を守ってるの?」
氷の中になにかある。それは僅かに蒼く輝き、静かに呼吸する。
「よし、あなたを倒して先のものをいただくよ」
瞬間、魔法を交えて交戦が始まった。それは後のことは考えていない戦い。
「暴走魔法ッ!」
使えるスキルを使い、畳みかける。
だけどレベルが違う。リオの強さはまあまあ、ここまで来られるくらいであり、それだけではパラサイトスコーピオンを一人で倒せるほどではない。
だけど………
「畳み掛ける!」
駆ける、駆け抜ける風だった。
豪風のように攻撃の手を止めず、使える攻撃手段は全て使う。
けどダメ、それでもパラサイトスコーピオンには届かない。
悲鳴のような雄叫びが響き渡る。その瞬間、硬直が入った。
尻尾の針が彼女を捕らえた。
だけど、彼女は笑った。
火花散る一瞬の交戦。控えていたクロが手に持つ武器で防いだ。
「くっまぁぁぁぁ!」
続いてクーが、シロがバフをかけた。
次にアイが氷の魔法で槍を放つ。この頃には硬直が解け、少女は駆ける。
彼女は片腕を前にかざす。その手にいるのは蜘蛛のモンスターだった。そこから放たれる糸は硬化し、槍のように目を穿つ。
悲鳴を上げる。ハウルのためではなく、本当の悲鳴。
そしてそこに向かって、最後の魔法と共に、それは槍のように放たれた。
彼女はパラサイトスコーピオンを倒してみせたのだ。仲間と共に………
◇◆◇◆◇
パラサイトスコーピオンを倒した時、それを見た。
氷漬けになっている花瓶のようなもの。真っ白であり、蒼い塗料で装飾された綺麗な水瓶。
そこにはレア装備、レア素材っぽいのが選び、選択肢を与えられた。
それを見たが、すぐにこう告げる。
「ここにあるものが手に入るのなら、私は『あの子』が欲しい」
その瞬間、パラサイトスコーピオンの身体は消えた。素材もなにも無く、手に入ったのは経験値などだけ。素材もなにも無い。
だが、その言葉と共に氷の壁が崩れ落ちる。
それを弾き壊しながら、それをしっかりとつかむ
「………だれか見てるね?」
それは水瓶を通して私に話しかけてきた。
どうして? 彼女は分かるのか分からないが、私は僅かに力を通して語る。
たすけて………
ここから出たいと思っていた。
ここに居たくないと思っていた。
だけど出られない。ここに来る者はパラサイトスコーピオンに勝てるはずもないし、勝っても他の物を選ぶはずだった。
だけど彼女は少女を選ぶ。こうして新たな称号を手に、大量の水が流れ込む。
少女を助けるためにどうするか考える彼女に、少女は大丈夫と告げる。これは中に入った物を出すためのもの。
こうして彼女、新たな冒険の目的。水瓶の持ち主を助け出すと言うのが加わる。
「………」
どこかの神殿、テラスの光に照らされ、豪華な椅子でうたたねをしている少女が目を開く。目の下にクマがあり若干まだ眠たそうに、だけどはっきりと起きた。
そして傍にあった長い、豪華な杖を持ち、カン、カンッと床を叩く。
それはすぐに駆け付ける。
「大聖女様、お呼びですか?」
自分の身の回りの世話係、聖女候補である少女達が現れ、膝をつく。
「水瓶の封印が破られた。我々ですら発見できなかった偉業成した者がいる」
それに聖女候補達は驚いた。
「シンシア、カトリーヌ、アニエス。三聖女を協力者と共に私の元へ。協力者はこの際、実力があり信用ができる者ならば誰でも構わない。すぐにここに呼びよせよ」
こうして物語の針は刻々と進んでいく。
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