第45話・あらたなたび
リオです。目的地を調べていますが、なかなか見つかりません。
乙女座のスピカちゃんも場所ははっきりわからず、難儀しています。せめてどの辺ははっきりすれば動けますが………
「すいません」
「はい?」
中庭の手入れをしていると、アニエスさんが来ました。普段は無口で無表情ですが、庭などを見ると微笑み、嬉しそうにしています。
いまではシロがスピカちゃんからいただいた種が木になり、様々な薔薇が生えています。
「ここは素敵ですね。未知の食材が溢れて、多くの者達に振る舞われる。最高の場所です」
「ありがとうございます」
「実はとある場所に、見たことのない花があるらしく、ご興味あると思い、伝えに来ました」
「そうですか」
「………もしかしたら獅子座に関するものかもしれません」
………
「そうですか、それはどの辺でしょうか」
とりあえず乗ってみることにします。当てがないですし、やることもないのは暇ですからね。
遠くから舌打ちをする音が聞こえた。んー複雑な人達に囲まれて、スピカちゃんが寝ずに働くのは仕方ないのかもしれませんね。
◇◆◇◆◇
「ハルルン、フローラ、しばらく俺はリオさんの後を追うことにする」
唐突にグットラックがそう言い、関係者一同は嫌な顔をする。
「最初に言っておくが変なことではないし、寄生するつもりもない。イベントでそうなった」
「イベントですか?」
「実は………」
◇◆◇◆◇
「グットラック、お願いがあります。リオさんの警護に回ってはくれませんか?」
「それはいったい?」
理解できないという顔をすると、シンシアは七色ドリンクを飲む。飲むだけで心が軽くなり、疲れが取れる水。飲める聖水として最高峰のそれに、聖女達は驚きを隠せなかった。
「特にアニエスがそれに執着するほどに」
「アニエス様がですか?」
「実はこの情報を持って来たのはカトリーヌです」
曰く、アニエスが悪趣味な趣味に走っているぞ。と言って、帰っていった。
ため息をつき、シンシアは一から説明する。
「カトリーヌは武国の聖女として貴族意識が高く、高い立場の者は責任と富が約束されているという方です」
「つまり貴族らしく区別はするが差別無く、という貴族と」
「はい。故に武国では贅沢三昧していても、それ相当の責任を取る彼女は人気者ですね。私は私に使うお金はそれほど多く望みませんが」
なるほど、そういうところがカトリーヌ様とシンシア様達の壁というわけか。グットラックはそう納得して、今度はアニエスの話に変わった。
「アニエスは趣味一筋の聖女です。彼女のいる生命樹という国は、エルフの国であり、知識と『美食』の国として有名です」
「………美食ですか?」
「すでに彼の国はここを一国として扱い、和平交渉をしようと水面下で動いています。七大美食が二つ、ドリンクと魚料理があり、デザートとフルーツ関係者が揃いました」
「デザートとフルーツですか?」
「世界七大美食は肉料理、魚料理、野菜料理、デザート、フルーツ、スープ、ドリンクです。実はアニエスの国は野菜料理を確保して、多く広められないか日夜研究しています」
「それで肉料理は未発見で、魚、デザート、フルーツ、ドリンクが一国で揃うと?」
それに頷く。
「すでにフルーツの種は白の女王こと、希少モンスターであるシロ様がいます。この種族は、大樹の母と呼ばれ、砂漠を緑に変えたモンスターです」
「それはまた」
「彼女が面倒を見るのなら、育てられるものがいないからと、種として封印されていたフルーツは復活するでしょう」
それと共にシロハナミツバチが乱獲からテイムへと切り替わりそうだ。そうグットラックは思い至った。
「ですが、アニエスはそれだけでとどまらず、興味のないリオさんにデザートがあるとされている場所を教えました。獅子座に関する情報があると嘘を言って」
「………それはやりすぎですね」
「はい。これを聞いてリオさんに進言しましたが、暇だから良いとおっしゃって………正直、その場所は帰らずの森とも呼ばれる場所で、下手をすれば足を引っ張るので」
「できる限り、なんでもこなせる者に託すしかないと」
「はい。お願いできませんか?」
カトリーヌがシンシアが嫌いなのは、他者をすぐに頼るところもある。
即断即決なのだが、貴族問題を他者に流すのはいかがなものかとカトリーヌは思う。まあ、そのおかげで事件は迅速に解決した。だからこそ表立って酷評しない。
だが頼んだ男はシンシアの頼みなら火の中水の中。こうして関係者に情報を流して、どうするか話し合う。
「というわけで来たよお姉ちゃん」
「わーい、一緒に冒険だね」
リオとセツナは喜び合い、テイムモンスターはクロ、シロ、クリスの三人にした。
「マンマ~」
「アイはアリスと一緒ですよ」
「うーーー」
アイはアリスに抱き着き、アリスは気を付けてと伝える。クリーム達も見送り、ケモット、フローラ、グットラックがあるかもしれないと噂の森へと向かう。
何が待っているか、それは彼らが解き明かすのであった。
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