第11話・糸を手に入れよう
ログインして、服作りのための準備に入る。まずは型紙だが、これは特典で手に入ったから、問題はない。
次に布、色々と見て回り、アイテムとして【コットン生地】が売られていた。レアリティや品質は低いけど、プレイヤーが作った物であった。
「どうすれば市場で物を売れるんですか?」
「冒険者ギルドに登録して、その手の依頼、納品系をしていると、受付さんから話しかけられるから、それからだね」
ちゃんと教えてもらい、お礼を言ってから私は冒険者ギルドを見て納品系のクエストをしてみる。受付さんから、物を売りたい場合、受付で話してもらえれば市場で物が売れるという話が出た。
「とはいえ、前もっていただけないと店は出せませんし、物が少ないと断ることはあります」
「分かりました」
料理は料理ギルドの納品で消費してるし、売る物は無さそうだな。鉄鉱石もまあまああるけど、私で作れる物は売り物レベルではないだろう。
料理ギルドに行けば、オリジナルレシピの売れ行きが良いらしく、お金をもらえた。そのうち、他の人も料理を売るかもしれませんねと言われて。
んー妹用にデザートは取っておこう。知らないうちに妹が手に入れても良いけど、まあなんとなく?
こうして納品で溜めていた【バームクーヘンの木】を売り払い、私は隠れ里へと再度向かった。
◇◆◇◆◇
また館へと戻る。ここに来た目的は、糸を手に入れるためだ。
糸を出すモンスターで強力なモンスターがいる。連れてく子は死に戻る事が多い為、なるべく避けていたモンスターだ。
モンスターフードも食べないその子、だけどもしかしたらという可能性があり、こうしてテイムするため、一人で館を荒らしている。
まずこの館、プレイヤーが物を荒らしたり、隠し部屋などを見つけてひっくり返したりすると、一日一回でフィールドボスとの戦いが発生する。
それは良い、もう慣れた戦いであり、攻略方法が剣の耐久値を削ることなのを知っているから、対処するのは可能です。
私の目的は隠し部屋、そこを何時間も荒らしたり、または長く居続けると現れるモンスター。目的はその子である。
というわけで館を調べまわり、ボスも倒し終えてもなお帰らず、隠し部屋の庭園を見つけて薔薇を確保する。レアリティも高いし、高価な品物なのだろう。
そしてそれは現れた。
「っと、突然だね」
巨大な蜘蛛のモンスター。いままで見た子供蜘蛛とは違う、水晶のような姿形の蜘蛛のモンスターで、糸が綺麗なのだ。是が非でも欲しい。
「君の糸、いただくよ」
怒りに吠えるように威嚇され、私は武器を持って対峙する。
◇◆◇◆◇
この戦いで私がするべきことは『バフをかけ続ける』ことである。
このモンスターの名前は【スピリットスパイダー】と言う。もしかしたら精霊、魔法生物なのかもしれない。この二つに属するモンスターは術者、主の魔力でテイムする。方法は魔法をかけ続けるか、偶然倒して手に入れるしかない。
綺麗な糸だが、金属のように固くなり、鋭い槍のように向かって来る。これを避けながら私が使えるバフスキルを掛ける。するとどうなる?
「あぶなっ」
答えは早くなる。私が使えるバフは敏捷を上げるもの。当然攻撃が速くなり、ウチの子達を連れてこれなかった。
これを回避し続け、倒すか懐くまで使い続けるしかない。このために魔力を回復する『魔力回復薬』を買っておいた。
隙を見てはそれを飲み、何度もトライする。
………正直に言って良い? まっずッ!?!
もうね『魔力回復薬』がまずいことまずいこと。
攻略組とかこれ飲んでゲームしてるらしいけど、不味い。妹がもう限界と嘆く理由がよく分かった。
早く仲間になれと思いながら戦い続ける。
………もういいや、倒そう。
即座に切り替えた私は、錆びた武器で何度も叩く。
こうして長い時間も戦い続けた。時間を見直したらログアウト設定時間がすぐに迫るほどに。
「やっつけたけどドロップが」
ドロップしたのはこの辺りで採れる『宝石薔薇の種』と『精霊蜘蛛の糸』。
それと『精霊の欠片』だそうだ。やはりあの子は精霊種であるのは間違いない。
だが残念ながらテイムはダメであった。一応まだ回復薬とかあるし、明日またトライはできるけど、どうするか………
とりあえず今日はもう帰らないとまずい。そう思い、最後に採取ポイントを探してみると………
「なにこれ?」
なんか宝石、まん丸の玉みたいなものが糸に絡まって、纏まって吊るされていた。調べてみるために一個だけ取ってみたら………
【魔物の卵】
レアリティ5 品質8
テキスト:魔物の卵、魔力を込めれば孵るだろう。0/5000
この子のお母さんらしいの倒したんだけど、良いんだろうか?
この世は弱肉強食なのだろうね。遠慮なく一個だけもらっていきます。
大切に育てるよーと思いながら、今日は宿に戻ってすぐにログアウトした。
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