第48話・残りの七大美食

 戦闘が終了して経験値が入る。シロとクリスが進化可能になった。


「?」


 なぜか巨大な白の女王、クィーンシロハナミツバチがこちらに着て、シロの手を取る。なんだか嬉しそう。


 周りのシロハナミツバチ達も喜んでいる。進化先を確認すると、目立つ種族がある。


 雪砂糖女王蜂、スノウシュガーミツバチだ。


「おー」


 クリスも進化先は、プリズムクリスタルスパイダーと言う名前であり、どちらも強力な進化先だろう。


 とりあえず進化させると、かなり大きくなり、猫くらいの大きさになった。クリスはそのまま腕の一部、ガントレットのように私の腕を守れるようだ。


「お姉ちゃん」


 ケーキのような花から、一滴の宝石が落ちる。それを受け取ると、中から声が響く。


『あなたちはだあれ?』


 その言葉に私は迷わずに答える。


「あなたのお姉ちゃんです」


『えっ?』


 乙女座の友達だと伝えたら、牡羊座の意識を宿すそれは、ようやく安堵した。


 ◇◆◇◆◇


『獅子座に食べられて数十年の時だと思ったら、もうそこまでひどくなってるなんて』


 牡羊座は驚き、嘆く中で、それでも事態が好転し出しているのを感じ、少しだけ余裕が戻る。


「すいません、ここはどういう場所ですか?」


『ここは私が育てた花の中でできた花園だよ。希少生物や薬草、七大美食として数えられる花、デザートリップケーキの花園』


「それは」


「なんかシロが色々教えてもらってる」


 女王である人から、新しい種族であるシロになにか教え、種を渡す。それは赤い美味しいイチゴのようなもの。大きさはリンゴくらいある。


『種を渡して、他のところで育ててだって。きっと数が少ないの気にしてるんだね』


「おー、少し食べたいなー」


 それを聞いたクィーンはしばらく考え込み、花のクリームを取る。


 スポンジにイチゴのムースを始めとした果物のソースが混じる層。その一部を持ってきてくれた。


 食べていいらしく、全員が食べてみた。


「うううぅっままーーーいーーいーーーッ!?」


 不思議なケーキを食べているように、それでいてしつこくない味わい。クリームも美味しく、すぐに間食した。


 スキルとして生命闘気というオーラを纏うことができるようになり、剣などに纏わすと必殺技のように扱えるようだ。


 一部ハルルン達に残して、牡羊座を乙女座達に会わす為にここから脱出する。


「持ち運べるの?」


『うん。私は意思だから、問題ないよ』


 出ていくときは簡単である。シロハナミツバチ達が運んでくれた。


 ◇◆◇◆◇


「あっまーーーいー!?」


 ハルルン達も驚きながら食べ切り、スキルを獲得する。オーラを纏っている間、他者のデバフやバフを弾いてしまうのが難しいところだ。


 そんな確認をしていると、シロがわくわくしながら帰ろうとする。庭にあの花を植える気なんだろう。


「これで七大美食のデザート、ドリンク、魚、フルーツが揃うのか」


「残りはお肉と野菜とスープですね」


『えっ、ああドリンクがあればスープも作れるよ。必要な素材を集めるだけだから、実は七大美食の中で一番簡単なんだよね』


「そうなんですか?」


『お肉、お魚、野菜をドリンクで煮詰めて、フルーツを隠し味にすれば完成する。スープはメインと言っても過言じゃないんだ』


「へえ」


 あれ? そうなると面倒なことになるのではないか?


 野菜はアニエスの国が増やせないか四苦八苦しているらしい。お肉は不明なだけで、もしかすれば星座に聞けばわかるかもしれない。


 お肉の確保、それを考えながら、彼らは来た道を戻るのであった。

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