第16話・初回イベント:戦闘

 町に戻り、料理するリオ。材料は無限で無い為、肉をドロップした人は提供を、料理スキル持ちは手伝うよう話を広めた。


 ゲーム内では初めてのまともな料理に舌鼓、プレイヤー達は歓喜する。


「やったレベル5、これで料理ギルドに入れる」


「私はあと少し、ビーフシチュー作ろう」


「すいません、調味料いただけますか?」


「はいはい」


 味噌豆の味噌と醤油を買えるのは自分だけで、提供するリオ。クリームも料理を手伝いながら料理を運ぶ。


 足りない分をリオが出して、料理スキルを上げていくプレイヤー。感謝しながら食べるプレイヤーと分かれていた。


 ご飯を食べに来たセツナは、戦局を言いに来た。現在、見たことも無いタイプのモンスターが現れている。ゴブリンは恐らく、彼らに追いやられて来たんだろう。


「お姉ちゃん、デッドポイントによる称号手に入った?」


「えっとねえ………【暗殺者】が手に入ってる」


「最初の称号だね。次は【執行者】でその次が【死神】」


「よくわかるね」


「持ってる人が情報売ってるから」


 館の情報も早めに解放した方が良さそうだ。ボス戦含め、その辺りはセツナ達のクラン『焔の魔導団』に頼むことにした。


 お金は少し量を引いて、まとめて渡される予定だ。そもそも錬金術師スキルの件もある。


「あれは有益だから、この後で大金として渡すから、その時に館の情報料を代行代もらってから渡すはずだよ。なんかリクエストある?」


「なら早めに情報解放で。早く解禁されれば独占してたことに文句言う人は少ないと思うんです」


「それ言う人は絶対現れるから意味ないけど、分かったよ」


 こうしてリオは料理を作るサポートをし続け、しばらく戦場から離れた。


 ◇◆◇◆◇


 しばらくして外に出て、クリーム以外が戦闘をする。シロとクリスはリオの腕に張り付き、糸を針のように放ったり、針で殴りかかったりしながら、キノはクロの傍にいて、クロは縦横無尽に投げて戦う。


 そして一匹のモンスターが現れた。


 ビックピックアタックと言う巨大な豚だった。


 素早く突撃してくるのは弾丸のようであり、【加速】を使い、敏捷を瞬時に上げて避ける。避けながら魔法攻撃するが反応は無く、走りながら戦場をめちゃくちゃにしていた。


「なら」


 闇魔法である鎖を引っかけるように足元に出現させ、絡まって土煙を上げる。


 瞬間、【加速】、無属性魔法【アクセルドライブ】、【剣術】持ちが覚えるアーツ、ストライクアタックを同時使用。槍のように横やりを激突させた。


 一撃で貫くのはデッドポイントではなく、クリティカル判定。それで一撃でトドメを刺した。


「よし、豚を狩るか」


 こうしてリオが面倒な豚を引き受けて、戦場は大物狩りへと狙いを変えた。


 ◇◆◇◆◇


 タイラントアリゲーターと言うモンスターが最高レベルらしい。セツナは突撃系のスキルを連結させて、一撃で貫いた。


「あと何匹いる?」


「あと十匹ほどだ」


「ハルルンの広範囲魔法は?」


「それは雑魚に使っている」


 爆炎が巻き上がり、ゴブリンや上位のナイト、リーダー、ホブ、マジシャンを同時に撃破する。


 ハルルンは火属性魔法のエキスパートだ。広範囲並び、高火力ではトップレベルであり、スキルも火力、範囲、MP消費を上げるもの、全て運用と火力上げのスキル構成をしている。


 弱点は魔力回復薬であるマナポーションを飲むこと。これがまずいため、吐き気を催す。


「んー美味しい料理のように、美味しいポーション作れないかな?」


「お姉さんか?できれば助かるけど」


「今度試してもらおう?さすがにハルルンがかわいそうだよ」


「あー確かに、もうドリンク並みに飲んで活躍してるからな」


「他の攻略組は前に出てる?」


「ああ、【推し活】や【令嬢】が元気よくな」


「あの二人がかなめだよね。推し活さんは槍士で一番だし、令嬢さんはハルルンより火力が落ちるけど、四属性魔法の使い手だからね」


「本だと二種類しか覚えられないのに、どうやって覚えたんだ?」


「さあね。とりあえず攻略トップはワニメインかな?」


「豚は他のプレイヤーか中堅が片づけてもらうしかないな」


「ならあと少しだね」


 こうして戦っていると、突然地面から巨大なワニが現れた。




 ギガントタイラントアリゲーター 状態:半狂乱


 タイラントアリゲーターの特殊個体、腹が減れば同族すら食らう。



 ボスらしきものが現れ、鑑定持ちがHPや情報を叫ぶ。


 タイラントアリゲーターですらかなり大きいのに、それはトラックよりも一回り大きい黒いワニであり、赤い眼光でゴブリンや豚を食べていた。


 口元は血で汚れ、冒険者、町へと向かう。


 そこに横やり、リオが拳と針で吹き飛ばす。


「固ッ!?」


 素早く尾っぽを振り回して、それを避けた後、セツナが同じように突撃して吹き飛ばすだけ。


「ノックバックだけ、ダメージ少ない!」


「なら魔法だッ! 後衛準備!」


 盾持ちが前に出て、後ろで魔法詠唱を始めるが、それを見てギガントは口に炎を集めた。


「やべッ! マジックシールド準備!」


 炎の巨大な塊が放たれ、すぐに盾で防いだが、


「吹き飛んだ!?」


「ノックバックか?!威力もありやがる!!」


 詠唱を辞めて安全地帯へと避難する魔法使い。


 冒険者の戦いは終盤へと差し掛かる。

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