第35話・第二イベント:三日目

 三日目、今度はみんなと分かれて行動することにした。クリームとキノ、クロが店を経営して、アイ、クリス、シロとアリスと自分が材料を集める。


 見守る人達にお礼として料理を渡しながら、私は岩山でアイテム確保とフィールド探索していた。


「ガッフー」


 ブレスが強力になり、攻撃が過激になったアイ。自分と言う機動力を失う代わりに、尻尾で攻撃したり、前衛タンクもできるようになった。


 そんなことをしていると山頂の岩壁から水が流れていて、小川になる場所に出てきた。新たな牛モンスターが現れる。名前は『モーモーマザー』と言う牛型モンスターである。


「うー」


 アイが近づいても大人しく、攻撃しないどころかアイにすり寄る。きゃっきゃするアイはお乳を飲み始める。どうも大人しく、優しい性格のようだ。


 せっかくだからお乳、ミルクをもらう。ついでに洗ってあげようと、川原で拭いてあげた。


「もー」


 自分にもすり寄ってきて、優しい性格らしい。アイがお腹いっぱいになり、子守歌を歌う。なんも効果のない鳴き声である。


 しばらくのんびりしていると、モーモーマザー達が草陰を囲みだした。


「どうしようどうしよう、知らない人がいる」


「ミルク手に入れなれないよー」


「そこにいるのは誰だッ!?」


 アリスが高圧的に話しかけて、わーと悲鳴を上げて何人かの小人が出てきたが、アリスが一人掴み上げると、泣きながら立ち止まる。


「アリス、ダメ」


 私はアリスを叱り、片手で持たれている子を抱っこする。


「? 優しい人?」


「そうだよ、お姉ちゃんは優しいの。ごめんね驚かせて」


 お詫びにミルクを取る手伝いとポテトチップスを渡す。


「サクサクしてるのー」


「おいしいのー」


「お姉ちゃんができたのー」


「うん、私はあなたたちのお姉ちゃんよ」


 わーいわーいと周りを囲み、走り回る小人たちは『コロボックル』と言う名前であり、この島の住人のようだ。


 他に誰かいないのか聞くと、秘密の場所で遺跡を監視しているらしい。挨拶したいと言って、出向くことにした。


 最初は驚かれたけど、付いてきたモーモーマザー達があやしてくれる。


「ぺろぺろされてるのー」


「良い人ばかりなのー」


「この人達ならなんとかしてくれるかもしれないのー」


 そう言って、村長らしい人が出てきて、島のことを説明してくれる。島は昔の人が作った物が眠っていて、遺跡は封印がされている。


 だけどこの前の嵐で壊れてしまい、あと一日で解放される。解放されれば中にある人形兵士がこの島に溢れてしまうとのこと。


 どうにか脱出したいけど、船なんて作れなくて困っているらしい。


「分かった。モーモーマザー達も含めて助けられるように、お姉ちゃんが頑張ってみるよ」


 わーいわーいと喜ばれる。この情報は遺跡前にいるプレイヤーにも報告するか。こうして遺跡に関して、村長が持つ【船尾座の欠片】を受け取った。いくつかあるらしく、同じものが島にあるかもしれないとのこと。


「とも座ってことは、アルゴ座に関するのかな?」


 確かりゅうこつ座、とも座、ほ座、らしんばん座の一つだ。あと三つ、島に隠されているらしいな。


 せっかくだからコロボックル達を連れて、セーフエリアへと帰還。わーいとみんなついてきて、プレイヤー全員にとも座に関するアイテムを渡している。


 とりあえずポテトチップスをサクサク食べながら、今度は島を一通り回り、その後に遺跡に入ることにした。

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