ハイスペックエルフの仮想冒険譚

読書好きのシマリス

第1章:始まり始まり

第1話・ハイエルフになる

 私は恐らくごく普通の女子高校生です。


「お姉ちゃんゲームやらない?」


 中学生、重度のゲーマーである妹がそう話しかけてきた。


 話を聞くにゲーム友達がとあるゲームのβテスターであり、正規品をもらう際、テスターの人は友人、家族と言った人を自分含め三人分。ソフトゲームを用意できるらしい。太っ腹なことだ。つまりβプレイヤーは正規品を三人分もらえるらしい。


 自分以外の分は友達が買えなかった時に備えての保険であった。友達は無事にゲームが買えて余ってしまい、妹の友達が誰でもいいからする人がいないか連絡してきたらしい。


「あと一人余ってて」


「どんなゲームなの?」


 首を傾げて聞くと、テレビを見せられた。どうも今話題のゲーム。VRMMORPGゲーム【インフィニティ・ワールド・オンライン】と言うゲームとのこと。


 仮想世界に広がるもう一つの世界を題材に、無限の世界を体験できると売り出している。


 それなら興味があった。我が家は人が多いがペットの類はいなかった。命を預かると言う行為自体、大切なことなため、可愛いとかそんな安直な理由で飼う事を禁止していた。あとウチはパン屋だし、無理して飼うのはねって、潔癖症なのだろうか?


 ともかく、私も無理して飼うほどで無いが、ペットは欲しいなと思っていた。このゲームのCMにモンスターを連れ歩けるらしく、いいかもしれないと思った。


 機会があることだし、私はできるかどうか話を通してもらい、こうしてVR機具を手に入れることができた。


「お金は払うよ?」


「大丈夫だって、もともとタダだし、一機に付き一アカウントで使わないともったいないから広めたいらしいの」


 妹からそう言われ、私は渋々受け取るだけにする。ゲーム内であったらお礼言わないとね。


 妹はさっさとログインして楽しむらしいが、私は説明書きなど読んでからログインする。


 ゲーム内は仮想時間と言う時間で、24時間が現実世界の12時間しか経たないらしい。


 ゲームに時間制限はある。長時間のログインは身体に悪い為、一定の時間が過ぎると強制ログアウト。強制ログアウト後は24時間、時間を置かないといけない。


 初回特典で五つのランダムチケットがもらえて、アイテムやスキルなどがランダムで手に入るとのこと。


 こうして確認を終えてから時間を見て、私はゲームへとログインする。


 ◇◆◇◆◇


 ゲーム空間は宇宙のような世界が広がり、やや浮いている状態からスタートした。星の中の光が一つ、私の傍までやってくる。


『ようこそ【インフィニティ・ワールド・オンライン】へ、私はナビ担当の星の精霊です。本日はよろしくお願いします』


「よろしくお願いします」


『それではあなたは創造神様のお力で、異世界に降りるための肉体を作ります』


 ゲームの設定では、私達は異世界からゲーム世界へ遊びに来る人達らしい。その世界の仮初の身体を渡され、死に戻りできたり、成長が早かったりする。


 まず性別からスタート、性別は女性、名前は『リオ』を選択すると、目の前に人型が生まれた。


「こうやって作るんだ」


 次にステータスはランダムで設定される。こだわる人はこだわるところだ。


 私は気にせず最初のステータスを決めるスロットを回した。


『おー素晴らしい。どの種族であろうと好性能のステータスです。一発で決めるのは運が良いですね』


「そうなの?」


『はい。このステータスなら前衛にも後衛にも生産職にも良い成績を残せますよ』


 次に種族だが、私はエルフ、森人を選ぶ。


 種族によって性能に差が出る。人間はバランス、エルフは器用と魔力が高く、耐久が低い。残りのドワーフは前衛型、フェアリーは器用と敏捷が高い、獣人はランダムで、犬や猫などいる。


「あれ?ハイエルフ?」


 ステータス画面を見ると種族がハイエルフになっていた。


『種族はステータスによって変化します。あなたの場合エルフを選ぶと自動的にハイエルフへと変更されます』


 他に獣人だと狐人になり、人間なら貴族になるらしい。


「とりあえずハイエルフで行きます」


 次にスキルだ。五つまで用意されたものから選べる。


 もう決まっているので、スキルはこうなった。


『モンスターをテイムする【調教】スキル。他のスキルは【錬金術】、【料理】スキルに【梟の目】スキルに【鑑定】スキル。【調教】は従魔使いになりたいのなら分かりますが、残りは?』


「料理は私が得意だから。残りはネットのおすすめスキルから選びました」


『念のために聞きますが、ゲーム世界でのスキル習得方法は知っていますか?』


「確か習得値と言うのがあってクエストをこなしたり、スキルを持つ装備を装備し続けたり、使用したりすると上がって、それが100になれば習得されるんでしたね」


『はい、ですのでここで戦闘技能を取らないと、最初の戦闘は時間がかかると思いますよ』


 戦闘がリアルなので、ゲームアシストが無いと戦えない子は多数いるらしい。なるほど、この子は私がゲームで躓かないように警告しているのだろう。


「私はゲームで、ペットの代わりにモンスターを連れて歩きたいだけなので、最初のフィールドで拘束されていても問題ありません」


『分かりました。ではスキルはこれで、残りは外見ですがいかがでしょうか?』


 金髪の深い碧眼のエルフが初心者の服装でいる。念のために動かせないか聞くと、動かせて違和感はない。


 準備を終えて、装備の確認。武器はおすすめで片手剣にしておく。


 こうして私はゲームの世界にログインした。


 ◇◆◇◆◇


 スタート地点となる町は『田舎町ムゥ』。広々とした広間に次々とプレイヤーが降り立つ。


 私はすぐに移動して噴水の水辺をのぞき込む。うん、リオになっている。


 すぐにチュートリアルが発生して、冒険者ギルドに行こうとなる。私は冒険者ギルドに出向き、冒険者登録をする。ここで登録するとアイテムやお金を預けたり、クエストを受けたりできる。


 モンスターをテイムする方法を受け付けの人に聞くと、【モンスターフード】と言うアイテムや食べ物を与えること、特別な方法でテイムできるらしい。


 私はまだ調教レベルは1、テイムモンスターは預けることができるため制限は無いが、好感度が低いと契約破棄されてしまう。テイムモンスターができたら従魔ギルドと料理ギルドに行くことを勧められた。


 他にもギルドはあり、スキルがあるのならば恩恵があるため、登録しておくことを勧められた。


「この町にあるのは冒険者ギルド、鍛冶師ギルド、従魔ギルド、服飾ギルド、農業ギルド、料理ギルドですね」


 他に入るべきは従魔ギルドだけ、登録しに出向く。無料登録で専用のアイテム、モンスターフードやブラシなど売ってくれるようだ。


「はいどうぞ、あなたのギルドカードです」


 ギルドにはランクがあり、アルファベットでランクが付いている。冒険者、従魔ギルドランクはEランクからスタート。【モンスターフード】は300Gかかり、一つ買い町の外に出ることにした。


 装備品である初心者の片手剣を持って、いざ外へと飛び出す。

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