第23話 Die or Die

第23話


「────────────────は?」


最初に出た言葉はそれだけだった。


初めは唯ひたすらに戸惑うだけだった。


だが、次第に────


「殺す。」


殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す────


「落ち着け、バカ勇者!!!」


魔王の声が聞こえた。


その瞬間、重く鋭い一撃が飛んでくる。


「────何のつもりだ、魔王?」


寸前の所で防げたが、凄い威力じゃねぇか。


俺の邪魔をするな、幾らお前でも────


「殺すのは賛成だが、その殺気を収めやがれや!!此処には、早柚も居るんだぞ!!!」

「あっ────」


余りにもキレ過ぎて、ここあの事を忘れてしまっていた。


彼女も悲しい筈、怒り心頭な筈なのに、俺は自分の事だけ………


「だ、大丈夫か、ここあ!?」

「う、うん、ちょっとビックリして腰が抜けちゃったけど、大丈夫だよ。」

「大丈夫じゃないだろ、それは!!」


俺は思わず彼女を抱き上げ、支える。


「あっ、そんな事しなくても………」

「これ位はさせてくれよ、ここあ。俺のせいでお前は………」

「ううん、そんなに気を落とさないで。久し振りにガチギレした東くんを見てビックリしたけど、お姫様抱っこしてくれたお陰で、役得だったし………」

「おい、イチャついてないで、さっさと上がれよ、勇者。」

「あっ、ああ。そうだな………」


☆☆☆


やはり、俺の元住まいは全くと言って良い程に変わってなかった。


娘が壁に着けた傷、ここあと二人でよく料理をしていた台所、何故か俺の部屋まで綺麗さっぱりに保存されていた。


少し変わった所が有るとしたら、俺とここあの遺影と仏壇がある事だろうか?


「何か不思議な気分だな、自分の遺影を見るってのは………」

「だね………実際、本来なら見たくても見れる様な物じゃないし。」


まぁ、見たい様な物でもないのだが………


「似てないな、今の勇者ととも。」

「だよね、今の東くんと、は全く別人だよね。」


そりゃ、そうだろ………


転生した時点で、別人なんだから………


後、何か『私の』の所をヤケに強調してないか?


変に睨み合ってるし、訳が理解わからん。


「あら、帰ってたのかい?」


この声は、まさか────


「あっ、ただいま!」

「久し振り、お婆ちゃん!」

「おや、綾子ちゃんまで来てたのね、久し振り。うん、その子は………」


ああ、懐かしい声だ。


少し俺が死んだ時から掠れてるが、何度も聞いた声だ。


これだけで立派に育ったのが解る。


出来るなら、久し振りと言いた───


「お父さん!?お父さんでしょ!?」


────え?


「会いたかった、お父さん!!!」


続く

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